昨年、「第三次ブーム」を迎えたタピオカ。“手軽に楽しめるスイーツ”であり、“少し贅沢をしたいときのドリンク”でもあるちょうど良さが若い女性を中心に人気沸騰、各地に専門店が乱立した。「2019 ユーキャン新語・流行語大賞」ではタピオカを飲むことを意味する「タピる」というワードがトップ10入りするなど、2019年のトレンドの要であった。タピオカドリンクは暑い夏には売上が上がる傾向にある。東京商工リサーチの調べによれば、昨年のブーム真っ只中には、タピオカ関連企業がおよそ半年間で倍の60社に増えたという。バラエティあふれる専門店の登場に、消費者はこぞって「飲み比べ」をしてはその評価をSNSに投稿。こうした相乗効果で空前のタピオカブームが到来したが……。
「昨年秋、タレントの木下優樹菜が、実姉の勤務先であるタピオカ店とトラブルになり、オーナーに送ったとされる『事務所総出でやりますね』といった恫喝めいたダイレクトメッセージが公になったことで木下は芸能活動を自粛。タピオカブームに水を差す騒動となってしましました。しかし、その木下は『週刊女性』(6月23日発売号)で、直撃取材に対して『きちんと謝りたいですからね。相手の方には謝罪する意思を見せ続けていますよ』と近況を語っています」(芸能記者)
そんな騒動をよそに、数あるタピオカ専門店の中からついに頂点が決まった。6月20日、日本タピオカ協会はタピオカの日本一決定戦「タピオカグランプリ2020」の結果を発表。黒糖部門は「チャカショウ」、総合部門では「Gong cha(ゴンチャ)」が最高金賞を獲得した。黒糖部門では、タピオカを甘く味付けした「黒糖タピオカ」に合う、定番のミルクティーもよりコクの深いものを扱っている店や、抹茶や黒ゴマなど和テイストを全面的に取り入れている専門店が上位を占めた。総合部門ではスイーツ的要素のドリンクも扱いつつ、さっぱりとした「烏龍ミルクティー」「フルーツティー」「チャイ」などバラエティに富んだタピオカドリンクを扱う専門店が上位入賞する傾向が見られた。総合部門優勝の「Gong cha」は今や世界1300店舗以上を展開する超有名店。タピオカデビューの一杯目にはぜひおすすめしたい店だ。
しかし一方で、個人経営の小さなタピオカ専門店はいま試練の時期を迎えているという。
「昨年夏、ブームにあやかって専門店が続々出店されましたが、よほどの有名店でなければ行列ができるのは夏の間だけ。寒い冬は売上が減少する業界なので、春から夏にかけての売上が勝負。冬の間は細々と耐えしのぎながら経営し春のタピオカシーズン開始に向けて新商品の開発などに努め、春から勝負をかけるのです。しかし、コロナウイルスの流行により春先のタピオカの売上は全く伸びず。閉店を余儀なくされた店も少なくないです。地域によっては半数以上の専門店が店を畳んだというデータもあり、新型コロナウイルスはタピオカブームを一気に下火にさせています」(経済誌ライター)
一度離れてしまった若者たちはコロナ終息後ふたたびタピオカを飲みに戻ってくるのだろうか。今、タピオカ専門店の経営者たちの頭の中はそういった不安で持ちきりだという。
(浜野ふみ)
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