ドイツ政府は11月9日までに、筒形の女性用生理用品の消費税を来年1月1日から現行の19%から7%に減らすとの方針を打ち出したという。連邦議会で議案が可決されたことを受けての措置だが、ドイツでは生理用品が、ワインやたばこといった贅沢品に分類されて19%が課されていた。それがこの度、日用品に改められ、7%課税とするというものだ。
もちろん課税項目に筒形の生理用品が特別に掲げられているというわけではなく、男女間における税の公平性をどう担保するかの問題だ。
女性の場合、「生理用品を使わない選択が無い」。だから、食料品や医薬品などの他の不可避の非課税必需品とみなすべきという議論だ。これを訴える動きは古くからあって、例えばオーストラリアでは昨年10月に非課税対象とした。それまでは、ほとんどの食料品のほか、日焼け止めクリームなどの健康関連商品や避妊具も10%の商品サービス税で課税対象外だったものが、女性用生理用品は課税対象だったのだ。政府にとっては日本円にして年間約24億円の税収を失うことになるが、20年間もの議論を経た上で、非課税の扱いにすることになった。一方ではタンザニアでは今年6月に非課税だったものが、再課税されたことで女性の間で怒りが噴出するなど、お国柄で対応は様々だ。
ところで10月に消費増税したばかりの日本はどうかと言うと、周知のようにそんな議論はどこ吹く風といった具合。軽減税率の対象は食料品と新聞に限られ、食料品だって細かい区分けで非難ごうごう、政治力で購読料据え置きを勝ち取った新聞は朝日新聞がヘタなPRをしたもんだからネットで炎上した。
問題なのは、生理用品の税率問題は女性だけの問題ではないこと。トイレットペーパーや赤ちゃん・老人の介護用おむつなどは、女性や高齢者を抱える世帯や所得の低い世帯には大きく直接的に響く品目だ。とはいえ、消費増税は既にスタートしてしまっているので、「1億総活躍社会」といったお題目が虚しく響くばかりだ。
(猫間滋)