2月29日から無観客競馬が実施されている中央競馬。重賞などレースによっては前年を超える馬券売上を記録し、一見コロナ禍の影響をそれほど受けていないように思われるかもしれない。しかしながら、長らくファンの胃袋を支えてきた場内外の飲食店は、閉鎖や大幅な売上減少に直面している。ネット上では思い出の味が失われていることを危惧する声も多い。
「土日だけの営業とはいっても、さすがに売上ゼロは厳しいはず。加えてテナント料があるんだから、閉店を考えるのも致し方ないのでは」
「長年競馬場に通っているオールドファンからしてみれば、朝は必ずここの店で食事を摂る、馬券が当たったらココで祝杯、というルーティンが崩れるのは非常に残念。どこにでもあるチェーン店では替えが利かない」
そもそも、2019年以前から競馬場内飲食店の閉店は相次いでいた。創業80年以上の老舗である中山競馬場「下辰」に加え「UCCオリエント」、東京競馬場では「LOFT HOUSE」「マツヤサロン」などなど……。そして両競馬場のレストラン「メトロ」が運営会社の破産により閉店している。閉店後の敷地には大手チェーン店が出店するケースもあるが、直近に行われた中山競馬場のテナント公募には複数の区画で応募がないという結果に。これでは競馬場内にシャッターが目立つ異様な風景が広がる日も近い。
5月いっぱいまでとしていた無観客競馬。5月29日には、6月28日まで延長することをアナウンスした。これ以上延長されるようなことになれば、競馬場でのひとときを色濃く演出する競馬場グルメが、さらに失われることは必至だろう。
(穂波章)