《1兆9014億8760万2100円》
1月1日に日本モーターボート競走会が発表した2020年次の総売り上げが、前年比でおよそ4分の1も増やしたというのだからコロナに負けない、いやむしろ巣ごもり需要を上手に取り込んだ大躍進に目が行く。
ボートレースは売り上げのピークが1991年の約2兆2200億円で、その後、一時は8000億円台まで落ち込んだものの、そこから「ネット投票」の解禁も功を奏して今回のこの数字。最盛期の数字も視野に入りつつあるのだから、いかに元気なのかが分かるというものだ。
「田中圭さんや武田玲奈さんがイメージキャラクターを務めたCMの宣伝効果は大きかったかもしれません。“競艇場=怖い場所”というイメージを払拭し、ボートレースが水上のスポーツであることを若い視聴者に印象づけることに成功したように思います。実はボートレースに限らず、競馬、競輪、オートレースのいわゆる公営競技はこのところ好調。経産省が公表している全産業の景気動向の最新の数字を見ると、8月〜10月は前年比120〜140%の数字で推移していました。なお、この時期はコロナからの回復を徐々に見せつつあったとはいえ、同じ娯楽産業では遊園地・テーマパークは30〜50%台の数字でした」(経済ジャーナリスト)
理由はネット時代にマッチしているからだ。そもそも公営競技の場合は観戦と投票の2つの要素から成り立っており、たとえリアルタイムで観戦できなかったとしても、結果さえわかればそれでいいという人も少なくない。
また、野球やサッカーなど他のプロスポーツが中止や開催延期を強いられた中、公営競技はいち早く無観客レースに踏み切って、ネットや専用アプリでその模様を中継してきた。その点、巣ごもりでヒマを持て余したにはうってつけだったかもしれない。
一方でコロナ禍の「落日」がささやかれるのがパチンコ業界だ。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、昨年9月から11月にかけての遊技機1台当たりの月間売上高は前年比80%台で推移している(※調査対象は売り上げ上位企業のみ)。
「当然、パチンコの場合は法律的な観点からネットを利用したサービス提供ができないので、外出して打ちにいくしかありませんからね。そもそもパチンコ業界自体が衰退する中、前回の緊急事態宣言が出た際には、パチンコ屋だけが悪者扱いされてしまいました。イメージの回復まではまだ時間を要しそうです」(前出・経済ジャーナリスト)
1月7日に発出された緊急事態宣言で、営業時間の短縮要請の対象外となったものの、テレワークのいっそうの普及と午後8時以降の外出自粛を呼び掛けていることもあって、サラリーマンが会社帰りにフラリと立ち寄ることも少なくなりそうだ。ゲームセンターや映画館と同様、営業時間を短縮しても協力金は支給されない。
ホール関係者にとっては苦難の年明けとなりそうだ。
(猫間滋)