恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー、木村花さんがネットでの誹謗中傷を苦に死去したとされる問題を受け、政府は誹謗中傷への対応を強化する方針を示した。そのような状況の中、SNS「mastodon（マストドン）」が「規制強化が実現された場合、対応できる体制がない」として一部のサービスの終了を発表するなど現状のソーシャルメディアの誹謗中傷対策への不十分さが浮き彫りとなってきている。
ネットでの誹謗中傷は世界各国で社会問題となっており、現在アメリカでは誹謗中傷に疲れたネットユーザー達の間で、あるソーシャルメディアの人気が急速に高まっている。
「ソーシャルニュースサイトの『Reddit（レディット）』はニュースや特定の話題についてのトピックにユーザーたちがコメントを投稿する日本で言うところの『2ちゃんねる（現5ちゃんねる）』のような電子掲示板サイトで、近年アメリカでTwitterなどのSNSに変わって頭角を現してきていて、あのオバマ前大統領も利用しています」（IT評論家）
Redditがアメリカで勢力を伸ばしている理由は、他のSNSとは違った「誹謗中傷対策」にあるという。
「『Reddit』の最大の特徴は誹謗中傷や脅迫などの不快な投稿をユーザーたちの手で削除できることです。Twitterなどの場合、削除権限を持つのは運営会社のみで、運営会社が規約違反だと判断した投稿のみが削除されます。しかし、削除活動は日に日に増える悪質投稿に全く追いついておらず、現状は多くの誹謗中傷コメントが溢れかえっています。一方、Redditにはモデレーターと呼ばれる投稿を削除できる権限を持つユーザーが多数おり、ボランティアで悪質なコメントや悪質なユーザーのアカウントの削除を行ってくれています」（前出・IT評論家）
他にも、Redditには誹謗中傷が少ない理由がある。
「ユーザー同士が互いのコメントを評価できる機能があり、評価が高いものほどトップに来て評価の悪いものほど下位に表示されるので、誹謗中傷などのコメントはほぼ目につかないです。また一定数悪い評価がついたものは削除されるので不快なコメントはすぐに消えていきます」（前出・IT評論家）
アメリカのTwitterの利用者数がここ5年ほど頭打ちしているのに対して、Redditの利用者数は右肩上がりで伸びている。ネット上での誹謗中傷問題に向き合わなければならなくなった今、ソーシャルメディアは、Redditの成功を手本として自浄作用システムを導入すべきではないだろうか。
（浜野ふみ）
