販売部数1位!ファッション誌「リンネル」を支持する「暮らし系女子」とは?

 1997年をピークに22年連続で出版販売額が減少し続けている月刊誌。インターネットやスマートフォンの登場により、情報はわざわざ書店で買う必要がないと思う人が増えたのではないだろうか。そんな厳しい出版業界の中でも売上を伸ばし続けている月刊誌がある。宝島社が発刊するファッション雑誌「リンネル」だ。2019年下半期の販売部数が前年同期比伸長率122%と部数を伸ばし、書店、コンビニの両方でファッション誌販売部数二期連続1位になるなど破竹の勢いだ。

 この「リンネル」は“丁寧で心地よい暮らし”をコンセプトにしたファッション&ライフスタイル情報がメインの雑誌で、「暮らし系女子」と称される読者の年齢層は10代〜60代とかなり幅広い。定価1250円と月刊誌としてはやや高く感じる価格設定だが、ハンディ扇風機やステンレスボトルなどといった普段使いしやすい雑貨が付録についているため、その付録目当ての読者も少なくない。

 「リンネル」のヒットの理由は豪華な付録だけでなく、コンセプトにもなっているいわゆる“丁寧な暮らし”のブームも大きな要因のひとつだという。

「リンネルが創刊された2010年、同時期に“丁寧な暮らし”が注目されはじめました。ギラギラした張り切ったおしゃれをするのではなく、ゆったりとした自然素材のワンピースを着て、普段サッと済ませてしまいがちな家事にこだわりを見つけ、裁縫や刺繍を楽しんだり、休日はカフェと骨董市をめぐるような余裕のある暮らしを心がけることですね。普段の何気ないオフの時間も充実させたいと考える女性の憧れの生活です。」(出版業界関係者)

 インスタグラムではハッシュタグ「#丁寧な暮らし」をつけた投稿が170万投稿にものぼり、自作のぬか床を紹介する動画や、果実酒をつくってみた記録など暮らし系女子たちのさまざまな“丁寧な暮らし”が投稿されている。

 インターネットやスマホなどの機械の普及した今、暮らし系女子は敢えて紙媒体の「リンネル」を手に取ることで、効率化や時短がばかりが求められる現代社会から距離を置いて、暮らしのゆとりを楽しんでいるのだろう。

(浜野ふみ)

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