新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月29日から無観客競馬が続いている中央競馬。そうした中でも火花の散るような熱い叩き合いが展開され、時にはジョッキー同士で「遺恨」が生じるケースも……。
「友一!」
無観客で静まり返った阪神競馬場に川田将雅(34・写真左)の怒声が響き渡ったのは、3月1日の阪神11R、GⅢ阪急杯のゴール板を過ぎた直後のことだった。
スポーツ紙記者が振り返る。
「最後の直線で2位に入線した北村友一(33・写真右)のダイアトニックが内側に斜行し、3位に入線した川田のフィアーノロマーノの進路を妨害。これにマジギレした川田が鞍上から北村友を怒鳴りつけたんです。あまりにも大きな声に勝った浜中俊(31)も驚いて振り向いたほどで、テレビの音声でも、しっかりと聞き取れました」
怒り心頭の川田は、検量室に戻ってからも北村友にキツく説教を始めたという。そして審議の結果、2位入線馬と3位入線馬の着順が入れ替わる形で確定ランプがともった。
北村友も「迷惑をかけて申し訳ありません」とコメントし、3月14日から28日まで(開催6日間)の騎乗停止処分が下されたのだが、この裁決に首をかしげる声も少なくない。
「周りにいた記者たちも同じことを言っていたけど、北村友は1頭分空いているスペースに入ろうと、内に進路を切り替えただけ。川田もそのスペースを狙っていたわけで、2頭でそのスペースを争った時に起きたアクシデントにすぎない。別に北村友がラフプレーまがいに進路を妨害したわけじゃないから、あそこまで当たり散らすのは、いかがなものか」(競馬関係者)
実は、この騒ぎの1週間前にも、川田は激怒していた。
2月23日の小倉4R。1位で入線した柴田大知(42)騎乗のマイネルポインターが最後の直線で外側に斜行し、4頭が被害を被った。中でも最大の被害馬が3位で入線した川田のサマーエモーションだ。
「(レースを終えて)上がって来るなり、川田はすごい剣幕で柴田大に猛抗議。8歳上の先輩に対して、かなりキツい言葉も飛ばしていた。審議の末、柴田大の馬は2着に降着し、繰り上がりで丸田恭介(33)のソツナサが1着になったものの、川田の馬は3着のままでした」(スポーツ紙記者)
昨年は最高勝率騎手に輝いたものの、リーディング争いではクリストフ・ルメール(40)に12勝及ばず2位で終わった川田。1月に行われた「JRA賞」の授賞式で「今年こそはルメールさんに勝つ」と意気込みを語っていたように、勝利への執念がそうした言動につながっているのかと思いきや‥‥。
「川田は過去にもミルコ・デムーロ(41)の『ヒジ打ち事件』など、多くの騎手との遺恨が生じている。『どなったもん勝ち』みたいなところもあるし、今回の北村友の件にしても『地雷を踏んだ』と揶揄する人もいる」(競馬関係者)
4月19日終了時点でルメールに12勝差をつけ、全国リーディング1位(66勝)をひた走る川田。はたして、次は誰がその「地雷」を踏むのだろうか。