自宅の駐車場をネット上に登録し、利用希望者に貸す「駐車場レンタル」という商売がある。
民泊ビジネスと同じく、使っていないスペースを有効活用することで収入を得るシステムだ。ネットのマッチングサービスを利用する点からして民泊との類似点は多いが、最も異なるのが「管理の手間」。一度貸すごとに部屋の掃除が必要な民泊と異なり、駐車場は次々と貸し出すことが可能だ。
都心を中心とした駐車場不足の事情も相まって、その手軽さから一躍人気の副業として定着し、近年では時間貸し駐車場サービス大手の「タイムズ」や「三井のリパーク」までもが駐車場レンタルのマッチングサービスに参入している。
では、どのような手続きで自宅の駐車場を貸し出せるのか。
国内最多の登録駐車場数を抱える「akippa」の場合、公式サイトのトップページから「駐車場を貸す」をクリック。氏名やメールアドレス、電話番号、駐車場の所在地などを入力したあと、必要となるのが「対応車両」の登録だ。ここでは「軽自動車」「コンパクトカー」「大型車・SUV」などから「貸し出す駐車場に収容できる最も大きなサイズの車両」を選択。自由記述欄に「これまで駐車した中で最も大きな車種」を記入する。
次いで「周辺の写真」「駐車場全体の写真」「駐車スペースの写真」の3枚をアップロードして「写真登録」が完了したら、最後に登録するのが「レンタルに関するスケジュール」だ。毎日決まった時間に貸し出す設定のほか、週ごとやイレギュラーな日程にも対応。15分単位で貸し出すことができるのが「akippa」の特徴となっている。
その後、審査を経てレンタルが可能となる。これら登録方法に関しては、多数ある同種サービスでおおむね同じだが、それぞれ異なるのが「報酬比率」。
「akippa」の場合、オーナーに支払われるのは、駐車料金の50%。収入の65%を支払いに設定している他社サービスもあり、どのマッチングサイトを選択するか吟味が必要だ。「akippa」が公開しているシミュレーターによると東京23区の場合、月々約2万円の収入が期待できるようだが、駐車場レンタルで高収益を上げるコツとは――。
駐車場ビジネスに詳しい経営者が明かす。
「現状、報酬率が高いサイトは、借り手とマッチする『サービス自体の集客力』に劣る傾向があるので、一概に報酬率だけでサイトを選ぶのは安直です。価格設定では『競合の調査』が欠かせません。私の感覚では、近くの時間貸し駐車場の3割弱の料金に設定するのがベスト。どうせ空いているスペースなんですから、優先すべきは『どれだけ貸しっぱなしにしておけるか』なんです」
手間のかからなさが最大の魅力なのであった。
(もとおり・ひろゆき)