「R-1」も無観客…新型コロナでテレビ業界が頭抱える番組改編期ドタバタ事情

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を念頭に安倍首相は2月27日、全国の小中高などを一斉休校するように要請した。ほとんどの自治体では3月2日か3日から春休みを前倒しして実施することになったが、これで頭を悩ませているのが、小中高生を育てる親のほうだという。

「ほとんどの親は1カ月にも及ぶ春休みの間、子供たちに何をさせるのかに頭を悩ませています。その最も簡単で効果的な解決策の一つが、テレビを思う存分観せること。これを機にネットフリックスやHuluに加入したという声が多く聞かれるほか、Amazonプライムビデオをテレビ画面に映し出す機器の『Fire TV Stick』は入荷待ちの状況です。地上波テレビでも3月は大型特番が多く、普段の年度末よりも高視聴率が取れるかもしれません」(テレビ誌ライター)
 
 この状況を“ピンチの中のチャンス”と呼ぶのは明らかに不謹慎ではあるものの、テレビ業界では視聴率向上に期待しているのもまた事実。しかしそんな“チャンス”とは背中合わせに、テレビ業界にも苦悩が迫っているという。前出のテレビ誌ライターがこう囁く。

「職場の感染対策が重要なのは、テレビ業界でも同じこと。しかしテレビ番組の制作はどうしても労働集約型になりがちで、時には100人を超えるスタッフが関与しています。それゆえ制作現場での感染対策も重要となり、かなり大変なんです。なにしろ在宅勤務で番組を作ることは不可能ですし、スタジオ撮影では大人数で密閉空間に閉じこもり、ロケ撮影では不特定多数の人々に接触することになるため、感染防止には不利な条件ばかり。年度末の改変期には多数の芸能人が集まる形のバラエティ番組が多いのですが、今の状況では番組作りのやり方からあらためて再確認する必要があるでしょう」
 
 企業のなかにはヤフーのように、100人超が集まるイベント等への業務参加を禁じているところもある。その基準にならえば、制作自体がおぼつかない番組も多数出てくるというのだ。

「クイズバラエティ番組の『99人の壁』(フジテレビ系)は明らかにアウトですし、大人数の芸人をクイズ形式でふるい落としていくバラエティ企画も開催できないでしょう。いわゆる街ロケでも商店街や商業施設が閑散としていそうですし、感染防止を理由に店側から取材を断られるケースも増えるはず。そうなってくると、ごく少人数によるトーク番組などの企画ばかりが採用されることになりそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 3月8日に決勝戦を生放送する「R-1ぐらんぷり2020」(フジテレビ系)では、お笑いの公開番組としては異例の無観客開催を決定。番組制作の苦悩は出演者側にものしかかっているようだ。

(北野大知)

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