エチオピア航空のアディスアベバ発ナイロビ行きの便が3月10日に墜落し、乗員乗客157人全員が死亡した。この事故で墜落したボーイング737MAXは、旅客機として最大のベストセラーであるB737型機の最新モデルで17年に就航したばかり。昨年10月にはインドネシアのライオン航空でも同型機が墜落しており、事故の原因がB737MAX自体にあるとの疑いも浮上している。
この事故を受け中国民用航空局は11日、国内のエアラインに対してB737MAXの運航停止を命令した。この命令を巡っては安全策として当然の措置との声がある一方で、アメリカとの貿易戦争が過熱化している中国が、アメリカ政府に揺さぶりをかける意図でボーイングを狙い撃ちにしたとの観測もあるようだ。
だが中国のエアラインの評判は「安かろう悪かろう」だった。日本発の海外航空券では安値トップを競っており、世界的な競争力は乏しいと言わざるを得ない。その中国がボーイングやアメリカ政府に対して揺さぶりを掛けられるのだろうか?
「サービス品質は相変わらずですが、エアラインの規模という視点では、いまや中国系エアラインは世界有数の存在に成長しています。その中国では現在、中国国際航空(エアチャイナ)、中国東方航空(チャイナイースタン)、中国南方航空(チャイナサザン)の大手3社がしのぎを削っています。それに加えて地方政府系や民間資本のエアラインも入り乱れ、その姿はまるで78年の航空規制緩和で新規エアラインが乱立したアメリカの再現を見ているかのようです。B737MAXに関しても中国で運航停止になった機体は96機にも及んでおり、中国系エアラインがボーイングの大手顧客であることを示しています」(トラベルライター)
ここで注目したいのが、イギリスの航空情報会社「OAG」が発表した最新のエアラインランキングだ。かつては上位を欧米系のエアライン、そしてJALやANAが占めていたものだが、18年にはその様子に大きな変化が生じているという。トラベルライターが続ける。
「いま世界で最も保有機数が多いのはアメリカン航空の956機。そして2位デルタの879機、3位ユナイテッドの765機、4位サウスウエストの749機とトップ4はアメリカの4大エアラインが占めています。そして第5位にはなんと中国南方航空の597機がランクインし、次いで6位の中国東方航空が525機。7位のライアンエア(439機)を挟んで、8位には中国国際航空の418機が続いているのです。それに対してANAは294機と差をつけられ、JALに至ってはベスト20に顔を出していません。ともあれいまや、中国の大手三社はBAやルフトハンザ、エールフランスといった欧州大手よりも巨大なエアラインに成長し、世界一の航空大国であるアメリカに迫る勢いなのです」
もとは旺盛な国内需要に支えられていた中国のエアラインだが、今では世界中に送り出される中国人観光客やビジネスマンの足としても活躍している。すでに上海や広州を経由して海外に向かう日本人も少なくない今、中国系エアラインの存在感はますます大きなものになっていきそうだ。