レジェンド2人が本音をぶつけ合う新春特別対談の第2弾は、球界の大問題を次々と激論。巨人ブランド、パの人気とカネ、スター新人育成、野球をつまらなくするルール改正、そして執行猶予中の大物OBへと舌鋒が鋭く向けられ‥‥。
福本 交流戦、日本シリーズとパ・リーグ優位の状況が続いてる。この流れは続きそうやね。
掛布 巨人がソフトバンクに4連敗で終わった日本シリーズは衝撃的でした。
福本 昔から人気のセ、実力のパと言われていた。我々の時代のパ・リーグはテレビ中継はないし、ダブルヘッダーや、デーゲームが多かった。厳しい環境の中で、セへの嫉妬みたいなものが力になった。
掛布 日本シリーズのあとに巨人の原監督がセにもDH制の導入を提案しました。でも私は、DH制を日本シリーズで勝てない理由にしたらダメだと思います。もしファンがそのほうがおもしろい野球になると望むのであれば、セでもDH制を導入してもいいと思う。でも、パに勝つために採用するという考えは違う気がします。
福本 指名打者として日の目を見る選手が出てくるのは確かやけどね。僕らの時は、ブーちゃん(昨年12月に死去した元阪急の高井保弘氏)がそう。守るところがなく、代打ホームランの世界記録(27本)を作ったけど、DH制ができてからはスタメンで出られるようになった。
掛布 制度のあるなしで、ドラフトの戦略も違ってきますよね。西武の山川やロッテの井上。ああいうタイプの選手は、DH制のないセではドラフト上位で獲れない。外国人もそう。打つだけというと失礼だけど、そういう選手を獲ることができる。
福本 選手の起用法もパのほうが楽や。監督が考えることが少ない。
掛布 投手もDH制のあるほうが育つと思います。セなら1点差で負けていて、6回にチャンスで打席が回ってきたら代えないといけない。でも、パだと打席が回ってくることを考えずに長く投げさせられる。
福本 精神面も含めた本当のスタミナは、ブルペンでなく、試合で投げているうちにつくからね。
掛布 環境面ではセとパの格差はほとんどなくなってきた感じがします。パの最下位チームの選手でも2億円、3億円ともらえる時代ですから。
福本 昔はギャラの面ではセのほうが高かったし、巨人が断然高かった。確かに時代は変わった。
掛布 人気面で言うと、福岡や札幌、仙台にフランチャイズを持っていったのも大きかった。ドラフトでもパがいい選手を立て続けに引っ張っていった。その選手たちがことごとくメジャーで成功しているから、パのほうが稼げるようなイメージもある。今はもう阪神や巨人の時代ではない。
福本 このオフのFAを見てもそういう流れを象徴してた。ロッテの鈴木が楽天に。楽天の美馬がロッテに。ソフトバンクの福田もロッテへと、みんなパの中で移籍した。
掛布 金額的に十分な評価をしてもらえれば、慣れたリーグでやるほうが楽なんでしょうね。今はお金のためにセに行く時代ではない。福田は出場機会を求めて手を挙げたけど、資金力のあるソフトバンクからレギュラーの選手は出て行かないですから。