福本豊×掛布雅之「激論!巨人・佐々木朗希・清原」(3)エルボーガードを禁止せよ

掛布 佐々木のケースで言うと、4回戦で200球近く(194球)投げて、準決勝でも百何十球(129球)も投げさせた。バランスよく投げさせていれば、決勝も投げられたと思うんですけど。一人の子供のためにみんなの夢を消すのは残念ですよね。

福本 みんな甲子園に出たかったと思う。そのために3年間、しんどい思いしてきたのに。壊れたらアカンから最後にエースが投げないというのは‥‥。

掛布 今回、高野連が決めた投球数制限(1週間で500球以内)のルールもどうなんでしょう。なかなか適用の範囲に入ってこない気がする。決勝まで行かないと届かないレベルの球数。練習では投げていいのかという疑問もある。ある程度の球数を投げて肩肘の力をつけていくのも大切だと思うんですけど。

福本 プロでも150球完投できるような投手はフォームのバランスがいいから、涼しい顔をして投げている。ところが力任せに投げているやつは、だんだんボールがいかなくなる。フォームのバランスは数多く投げることで作られるところがあるから。

掛布 江夏さんはキャンプの1カ月間に3000球投げたといいます。

福本 投げて覚えるんやろね。勝手に体が覚える。それは打撃も守備も同じ。大事に育てられた佐々木がプロでどうなるか注目。何年もつか、何球まで投げられるのか。やってみないとわからない。高校日本代表でもマメの影響で投げられなかったり‥‥。

掛布 これだけ注目されると佐々木も大変。1軍できちんとした答えを出さないといけない。県大会の決勝で投げられなかった気持ちを忘れないでほしい。50球しか投げなくても壊れる時は壊れる。

福本 話は変わるけど、今の野球を見てていちばん思うのが、打者のエルボーガード。ほとんどの選手がつけてるけど、あれはルールで禁止にしてほしい。

掛布 野球が変わってしまいましたよね。当たっても痛くないから、よけずに当たりにくるんだもの。

福本 投手陣がなんで文句言わないのか不思議。今は逃げ方自体も下手になった。昔は「故障しないように、うまく当たれよ」と、当たり方まで教わったけど。

掛布 肘当てを外すと、投手のインコースの使い方が大きく変わってくる。打者は当たらないように逃げるし、そうなると今度は外のボールが生きてくる。配球の駆け引き一つとっても、もっと野球はおもしろくなるでしょうね。

福本 勝負の空気がピリピリしてくると思う。なんぼ友達でも、当てられたら「コラッ!」となる。最近はそういう勝負がないな。ピッと肘を出せば、痛みも感じず死球で歩けるんやから。

掛布 今の選手は日本代表で同じユニホームを着る機会も多いし、仲がいいですから。自主トレも一緒にやる。仲よくなるのは悪くないけど、もっとゲームの中で熱いものを見せてもらいたい思いはあります。

福本 投手陣が訴えても「アメリカでも認められていますから」となるし、諦めてるんかな。

掛布 全部が全部、メジャーにならう必要はないと思うんですけどね。日本独自のルールがあってもいい。

福本 申告敬遠やリクエスト制度など、何でもかんでも同じルールに変わる。

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