「2019年の映画」異例ヒットの裏(2)途方もない記録に挑戦する新海誠監督

 夏公開の映画は、近年稀に見る超激戦の熱いバトルとなった。

 かつての人気作を実写化した「アラジン」の封切りに始まり、“出せば必ず売れる“「トイ・ストーリー」シリーズ第4弾、覇権を巡るライオンの闘争を描いた「ライオン・キング」が御三家作品として市場をリードすると、日本からもヒットメーカー・新海誠監督が満を持して「天気の子」をリリース。4作品の国内累計興収が約420億円を突破する空前の盛り上がりを見せたが、なかでもNo.1の興収を記録したのは140億円を売り上げた「天気の子」だった。

「『天気の子』がメガトン級の大ヒットを果たしたことで、新海監督は250億円を売り上げた前作『君の名は。』に続き、2作連続で100億円超えのヒット作をリリースした“史上2人目の監督“として名を刻みました。もちろんこれは大変な偉業であることは確かなのですが、“1人目“として名を刻んだ宮崎駿監督は1997年の『もののけ姫』に始まり、2013年の『風立ちぬ』に至るまで、実に5作連続で100億円突破という再現不可能な金字塔を打ち立てており、今後、新海監督はこの途方もない大記録に挑戦することになります。なお、新海監督の『君の名は。』の興収250億円という記録は日本での歴代興収ランキングの4位に入り、堂々の1位に君臨するのは300億円超え果たした宮崎監督の『千と千尋の神隠し』です。新海監督の成功が注目されればされるほど、宮崎駿監督の業績がいかに偉大であるかを知らしめる結果になっていますね」(テレビ誌ライター)

 また、夏の市場では他にも鉄板の人気アクションシリーズのスピンオフである「ワイルド・スピード スーパーコンボ」や「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」がそれぞれ29億円、30億円のスマッシュヒットとなると、日本アニメ界を牽引する劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」は興収55億円を叩き出し、「アラジン」や「天気の子」「トイ・ストーリー4」ら超大作の市場独占を許さぬ成功を収めた。

 なお、「トイ・ストーリー」を製作するピクサーを傘下にするウォルト・ディズニーは、2019年夏が終了した時点での世界興収が76億ドル(約8200億円)を突破したと発表し、これが歴代で最高の記録だったことも併せて報告。今夏の映画界がいかにアツいものだったかを窺わせるデータとなっている。

(木村慎吾)

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