「2019年の映画」異例ヒットの裏(1)「あれは映画と言えない」

 2019年も話題作が目白押しだった映画界。近年は月額制サブスクリプションの映画配信サービスが浸透し、場所を選ばない気軽な映画の視聴が可能となったが、それでもなお、重低音を轟かせるシアター特有の体感は一定のニーズを集め続けており、2019年の映画興行収入の総額は過去最高を記録した。それも数々のヒット作に恵またからだ。

 まずは、ゴールデンウィークに爆発的ヒットを記録したアクション大作「アベンジャーズ エンドゲーム」と「キングダム」だ。両作共に人気コミックを映像化した力作で、マーベルが誇る最強シリーズの最終章となった「エンドゲーム」は世界での興行収入が27億ドルを突破するモンスター作品となり、長年にわたって歴代興収1位の座を守ってきた2009年の「アバター」を抜いて、“映画史上最も売れた作品“に君臨した。

 各マーベル作品の世界観を予め統一することで、アイアンマンやキャプテンマーベル、ハルク、マイティ・ソー、ホーク・アイなど、圧倒的な人気を誇る最強のキャラクターを一斉に出演させる“オールスター“キャストを実現し、そのあまりの人気ぶりからハリウッドの映画監督からは「ズルい」「あれは映画とは言えない」といった嘆き節までも聞こえている。

 日本国内では、マーベル作品の人気がアメリカほどに普及していない現状がありながら、「アベンジャーズ エンドゲーム」の興収は61億円を記録。また、同じく固定ファンを抱えていた「キングダム」にも作品の完成度を絶賛する声が溢れ、予想以上のロングラン上映となると、興収56億円という大ヒットに。「エンドゲーム」との2枚看板で映画館を彩り、GWを大いに盛り上げたのだった。

(木村慎吾)

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