楽天を退団した嶋基宏捕手の東京ヤクルトスワローズ入りが決まった。今季は腰の故障などで出場試合数が激減したが、バッテリーの強化を掲げる高津臣吾新監督にとって、経験豊富な嶋はうってつけの人材である。
「オリックス、千葉ロッテ、中日なども嶋の獲得を狙っていました。オリックスは支配下登録の捕手は5人だけ。逆に、ヤクルトは育成を含め、7人も捕手を抱えることになりました。戦力的に捕手が弱い千葉ロッテ、中日も補強を考えているので、今後いくつかのトレードがまとまりそう」(スポーツ紙記者)
一部報道によれば、契約期間は2年、年俸総額は5000万円だという。今季推定年俸1億1000万円から野球協約の定める上限以上の減額提示が楽天退団の引き金になっているが、嶋の希望する「試合に出る」「横一線からのレギュラー争い」なら、ヤクルト以外の球団でもその思いは叶ったはずだが…。
こんな情報も聞かれた。
「ヤクルト1位指名の奥川恭伸に興味があったようです。田中将大の新人時代のボールを捕ってきて、その成長を目の当たりにしてきた。奥川の教育に一役買いたいと思ったところもあったようです」(球界関係者)
また、國學院大学の後輩にあたる速球派・清水昇、未完の大器・寺島成輝など「これからの投手」も少なくない。ベテラン左腕・石川雅規、豪腕・小川泰弘らリードしがいのある投手もいる。防御率4点台後半のチームを建て直す面白さも感じているようだ。
「千葉ロッテも熱心に交渉していましたが。こちらは同じく元楽天・美馬の獲得に成功しており、新天地で再びバッテリーを組むこともできたのですが」(前出・スポーツ紙記者)
千葉ロッテには、令和の怪物・佐々木朗希もいる。こちらは体力作りからスタートするので、当分は二軍暮らしとなりそう。すぐにバッテリーを組めないのもそうだが、嶋は素質に恵まれた怪物よりも、体格も田中に近い奥川に興味を抱いたのかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)