日本でも横行する中国人留学生「カンニング&替え玉受験」ビジネスの実態

 日本国内で今、中国人留学生をターゲットにした組織的な「カンニング&替え玉受験」事例がトンデモない数で急増している。

 都内のTOEIC試験(英語能力試験)会場で、中国籍の男が別人に成りすまし受験しようとしたとして、建造物侵入容疑で逮捕されたのは今年5月のこと。容疑者の男は27歳の京都大学大学院生で、スマートグラスで答案を読み取り、マスクの下に仕込んだマイクで同じ会場にいるほかの複数の受験者に解答を送っていたという。

「男の存在は以前からTOEICの主催団体もマークしていたようで、事前に警察に相談。当日は会場を捜査員が張り込み、現行犯逮捕となったわけですが、この日、会場には容疑者と同一住所の受験票を持つ受験生が43人もいたことが発覚。男は別の日にも替え玉行為をしていたことが分かっており、警察は中国系業者による組織的なカンニング及び替え玉受験として捜査を進めています」(社会部記者)

 事件を受け、「TOEIC」を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は、不正受験について改めて調査を開始。すると、6月までの2年間で逮捕された男と同じ住所、あるいは近隣の住所で申し込みをした受験者の数が、803人に上っていたことが判明。即刻、これらの受験者に対し、「試験結果無効」と受験資格の「5年間はく奪」を通知し、今後も調査を継続していくとしている。

 この容疑者がわずか2年の間に一人で803人もの不正受験に関与していたとすれば、当然、それが組織化され、男と同じ役割を担う中国人が複数いた場合、不正に「TOEIC」を取得した中国人留学生はとんでもない数に上る、とも思われるのだが…。

「中国におけるカンニングや替え玉受験は、もはや完全にビジネスとして成立しています。そのためカンニングや替え玉受験はおろか、入学後の授業出席や課題提出など、金さえ払えば全てを代行してもらうことも可能。22年には、広州市にある某通信制大学の期末試験会場で受験生2831人のうち、なんと2093人が替え玉だったことが発覚し、本国でも大きな問題となりました。さすがに事態を重く見た中国政府も、試験不正組織罪の摘発を強化。摘発されれば有罪判決を受けるため、中国人組織が日本に拠点を移し、そこで中国人留学生を狙ってビジネスを展開するようになったようです」(同)

 その証拠に近年、日本のSNS上には中国人学生向けに中国語で《成績850点以上保証》などと書かれた広告が目につくようになった。

「就職氷河期が続く中国では、日本でTOEICの資格を取り、日本の大学に進学した後、日本企業に就職を希望する若者が増えています。そういう人たちにとってTOEICなどの資格は有利に働くことになる。加えて不正受験の処罰も中国と日本とでは雲泥の差があるため、多少のリスクを冒してでも、組織としては日本でビジネスを広げたいと考えているのでは」(同)

 料金はTOEICなどの資格や大学入試など、試験の種類と方法で異なるものの、会場でのテストに参加させ、試験中に解答をウェアラブル端末などに送信するというものが多いのだとか。ただ、最近ではSNS上の広告自体が偽物で、中国人留学生が前金を振り込んだ時点で、連絡が取れなくなるケースも急増しているという。

 依頼するほうも依頼するほうだが、規制の緩さを狙って次々と進出してくる中国系組織を取り締まるには、厳罰の強化しかない。日本政府には毅然とした態度で臨んでもらうことを願うばかりだ。

(灯倫太郎)

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