日本でも復活か?欧州で夜行列車が増便ラッシュ!

 かつて長距離輸送の主力を担いながらも廃れていった日本の寝台列車。最盛期の1975年には1日39往復が運行されていたが、現在は東京と出雲市、高松を結ぶ「サンライズ出雲・瀬戸」の1往復のみとなっている。

 だが、欧州では近年寝台列車が大ブーム。21年にはオーストリアの首都ウィーンとパリやアムステルダム、22年にはストックホルム−ハンブルク、今年5月にはブリュッセル−ベルリンなど次々と寝台列車が新設、あるいは復活している。

 ただし00年代から10年代半ばにかけて、かつての日本のように次々と廃止され、15年にはドイツを中心に数多くの寝台列車を運行していたシティナイトライン社が撤退。ひとつの時代に終わりを告げたと思われていたが、ここに来て黄金期が再来。この潮目の変化はどういうことなのか?

「LCCの台頭で利用者が奪われたのですが、脱炭素に向けた取り組みの中で寝台列車が航空機よりもエコな大量旅客輸送の手段として再評価されているのです」(鉄道ジャーナリスト)

 現在、欧州を席巻中の夜行列車「ナイトジェット」を展開するオーストリア連邦鉄道のアンドレアス・マッテCEOは、「飛行機と比べた場合、1回の運行で10万kgのCO2削減効果がある」とメディアの取材やスピーチなどでたびたび語っている。

 また、人気を後押しするもう1つの理由は安さ。ヨーロッパの鉄道は航空券のように予約時期が早いほど安く購入でき、LCC並みの運賃で移動することが可能だ。

 そんな欧州の寝台列車人気を受けて、注目されるのは日本の寝台列車の復活。果たして実現の可能性はあるのだろうか?

「現時点ではそういう話は聞きません。仮にJRグループ数社の路線を跨いで運行する場合、1両数億円の改造費用の負担などで揉めるのは必至です。ただ、欧州のように政府が後押しすれば寝台列車が新たに導入される可能性は大いにあると思います」(同)

 欧州のように再び寝台列車天国となることに期待したい。

(高島昌俊)

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