9月20日から11月2日までのおよそ1カ月半弱にわたって熱闘が繰り広げられたラグビー・ワールドカップ。大会を制したのは準々決勝で日本代表を下した南アフリカで、95、07年に次いで3度目の優勝を飾った。
対するイングランドは、準決勝のニュージーランド戦で、試合前にオールブラックスが行うマオリ族の民族舞踊「ハカ」の最中にV字の隊列で応じたが、この際、大会規約で禁じられている敵陣への侵入に抵触した。これを受け主催者の国際統括団体であるワールドラグビーは、2000ポンド(約28万円)の罰金を課した。
「これを報じた英国誌によると、罰金はそのまま10月12日に日本に上陸して甚大な被害をもたらした台風19号の救済基金に寄付されるとのことです。一方で、ラグビーワールドカップは仮に優勝しても優勝賞金は出ない大会ですから、単純に考えればイングランド代表は28万円の赤字ということになります」(スポーツジャーナリスト)
ラグビーのワールドカップは、オーストラリアとニュージーランドで開催された87年の第1回大会から第10回のフランス大会までずっと優勝賞金は「0円」で、それは今回の日本大会でも変わっていない。貰えるものとしては、ある少年がサッカーの前身であるフットボール中にボールを手でつかんで走り出したことで始まったとされるラグビーの、その少年の名前を冠した「ウェブ・エリス・カップ」という純銀で金箔をほどこした優勝トロフィーのレプリカだけなのだ。
一方で大会の収益は、15年のイングランド大会で約493億円にものぼるという。日本大会では、563億5000万円の大会予算で運営された。
「優勝した南アフリカでは優勝ボーナスが1800万円出ると言われていました。一番高かったのがイングランドの4200万円で、ニュージーランドとオーストラリアの隣り合った強豪国では3000万円ずつ。ただニュージーランドの場合、1勝あたり1200万円の勝利給もついて、優勝すれば総額で1億4000万円にもなる羽振りの良さです。対する日本は、優勝=500万円、ベスト4=300万円、ベスト8=100万円ですから雲泥の差ですね」(同前)
これに見かねてかどうかは分からないが、前回大会時には01年から代表のスポンサーを務める大正製薬が、選手とスタッフ約50人全員に100万円を贈呈した過去がある。
(猫間滋)