野手のワーストナインも豪華な顔ぶれが出そろった。打てない、守れないではチームの足を引っ張るばかりである。
両リーグ通じて20個という最多失策を記録した大山悠輔(24)=阪神=は満塁打率でもセでワースト1位となり、2冠を獲得した。
「大山の場合、バッティングの悩みがそのまま守備に出てますよ。本来、守備は肩も強くてうまいんですけどね。満塁打率に関して言えば、右バッターだから、ゲッツーを避けたいという優しい気持ちが表れた典型じゃないですかね。三振も外野フライも一緒というような割り切った考えを持ったほうがいいでしょう。その前の3番を打つ糸井嘉男(38)はもの足りなさすぎます。打率はいつの間にか上のほうですけど、大事な時にはいなくなった。大山を4番に育てるなら、糸井にはもっと働いてもらわないと」(金村氏)
しかし、大山の満塁低打率をはるかに凌ぐのが、ソフトバンク・内川聖一(37)である。衝撃の0割。浅村栄斗(28)=楽天=も同じ0割だが、こちらは4打点3犠飛と最低限の仕事はしている。
「内川は明らかに力が落ちています。強いボールを投げる投手だと打てない。CSで工藤監督が内川に代打を送りました。そうしたデータがはっきりと出ているからです。内川とともに最低得点圏打率を記録した雄平(35)=ヤクルト=の場合は『何が何でも初球から行く』というのがデータ的にバレている。恐らくコーチは本人に伝えていると思うけど、早打ちというのは性格と同じで、なかなか直らないんです」(伊原氏)
内川の年俸は4億円だが、とてもそれに見合う働きではなかった。角氏も内川の満塁打率を見て驚いたと話す。
「まさか11-0とは思わなかった。かつてシーズン3割7分8厘を記録した選手ですよ。内川も丸佳浩(30)= 巨人= も、満塁でもっと打っていると思っていた。カウントの状況にもよるけど、満塁だと投手はストライクゾーンで勝負せざるをえないですからね」
阪神・鳥谷敬(38)のように、すでにレギュラーではなく出場機会が減った選手は費用対効果が悪いとやり玉に挙げられがちだが、シーズンを通して不振だった選手も忘れてはならない。
「ロッテの中村奨吾(27)は最初からダメで、全然、打率が上がってこなかった。井口監督が我慢して使っていたけれど、結果は2割3分2厘というパの最低打率。本来、中村は4番も打てるバッターなんだけどね。同じロッテのレアード(32)の負け試合ホームランの多さはわかる気がする。ランナーが出ると打たないですから。だから、終盤戦は7番8番だったよね」(伊原氏)
先の内川をはじめ、ソフトバンクには高額年俸選手がひしめいている。中でも柳田悠岐(31)が筆頭格だ。
「ケガだからしょうがないといえばしょうがないけど、5億7000万円ももらってるんだから自己管理能力を問われてもしょうがないだろうね。無事之名馬ではないけど、名選手はケガをしません。ONもイチローもそうでした。ONはお客さんのために、オープン戦も最初から最後まで出ずっぱりだったわけですからね」(角氏)
ファンの期待を裏切ることが何よりもワーストなのだ。
ところで、角氏は今季のプロ野球界最大の謎は、丸の人的補償として、広島が巨人から長野久義(34)を獲得したことだという。
「緒方監督はなんで長野を使わなかったのかな。長野は燃えてたシーズンだったと思うんですよ。若手育成のチームという理由で使わないのであれば、なぜ獲ったのか。使って結果を残せずに降ろされるのはわかる。結果が出るまで使ってないですから、意味がわかりません」
かつて小林繁が対巨人戦8連勝、シーズン最多の22勝をあげたように、巨人—広島戦で長野が丸の目の前で大活躍する。そんな人間ドラマを演出できなかった緒方監督こそ、ワースト監督だったのかもしれない。