京都と並ぶ古都として、毎年国内外から大勢の観光客が訪れる奈良。魅力的な観光名所は数多くあるが、そのわりには有名なご当地グルメは少ない。全国的に知られる三輪そうめんや柿の葉すしほどの知名度はないが、その陰に地元民たちに長年愛されているのが天理ラーメンだ。
その二大チェーンは、天理市の本店を中心に奈良県内や周辺の各県などで展開する「彩華」と“天スタ”の愛称で知られる「天理スタミナラーメン」。どちらもたっぷりの白菜にニラ、豚バラ肉など具材はほぼ同じ。ピリ辛のスープも共通しているが、彩華が辣醤を使った醤油ベースで、天スタはとんこつベース。どちらもニンニク多めだが、彩華のほうがパンチの利いた味わいになっている。
ただし、野菜がたっぷりなので女性にも人気。ラーメンの具材としては白菜も豚バラ肉もそれほどメジャーな食材ではないが、いずれもスープとの相性は抜群。中細のちぢれ麺にもよく絡み、ペロッと平らげられる。
両店とも「小」と「大」の二種類があり、屋台スタイルで提供する店舗があるのも特徴。記者は彩華では「サイカラーメン・小」(880円 ※店舗によって金額は異なる)、天スタでは「スタミナラーメン・小」を実食。いわゆる定番系のラーメンとは一線をするが、見た目・味ともに◎。実際には見た目ほど辛くないため、苦手な方でも食べやすそうだ。
駅から離れた場所にある店が多いため、観光客にとってはアクセスが少し不便だが、それでも行く価値はある。特に今年はGW明けからの猛暑が予想されており、例年以上に厳しい夏になると言われている。天理ラーメンはスタミナ料理としても人気があり、これからの暑い季節を乗り切るにはピッタリなメニューかもしれない。
(高島昌俊)
※写真は「彩華」のサイカラーメン・小