トランプ政治に不安と怒り!民主党のヒロイン・オカシオコルテス議員が人気沸騰の理由

 トランプ米大統領が日本時間の3月27日午前5時、自動車に関する関税措置について発表した。今回の自動車への関税措置が、同氏が4月2日に発動するとしている貿易相手国と同じ水準にまで関税を引き上げる「相互関税」を前にしたディールであることは、言うまでもない。ただ、アメリカ人にとっても高関税の負担で経済活動が冷え込めば、インフレの加速や景気減速という事態もあるため、米国民もトランプ氏の「微妙なさじ加減」を注視している。

 そんな懸念が広がる中、ここへきて息を吹き返しているのが、昨年の大統領選挙で共和党に大負けした民主党だ。なかでも、このところ凄まじい人気を誇っているのが、民主党の次期大統領候補の一人と目されるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(35、ニューヨーク州選出)。

 3月20日、アリゾナ州フェニックスで開催された集会には、約1万5000人、翌21日に行われたコロラド州デンバーでの集会には、なんと約3万4000人の聴衆が詰めかけ、米メディアでは「長蛇の列で最後尾が見つけられず会場の外柵で集会を見た」という支援者が少なくなかったと報じている。

「昨年の米大統領選に敗北後、世論調査によれば、民主党および民主党議員への支持率は過去最低の水準。ただ、低所得層や労働者層の味方を自認する急進左派のオカシオコルテスの人気だけは衰えを知らず。この集会は同氏と米左派の重鎮で進歩派のバーニー・サンダース上院議員(83、バーモント州選出)とで行ったものですが、直近のCNNによる世論調査によれば、次期大統領候補として名前があがる2028年の民主党候補者中、オカシオコルテス支持は10%とダントツ。サンダースの8%、ハリスの9%を上回り第1位になっています、つまり、このままの状態で行けばオカシオコルテスが民主党の顔になる日も近いかもしれません」(国際ジャーナリスト)

 オカシオコルテス氏は集会で、自身も低所得な労働者だったとして、「私がヘルスケアや労働者の権利、人間の尊厳を信じているのは過激主義者だからではなく、かつてウェートレスだった経験があるからだ。学校の授業料を稼ぐために、母と一緒にトイレ掃除をした経験があるからだ。電気代を支払うために2つの仕事を掛け持ちした経験があるからだ」と演説。聴衆から熱狂的な声援を受けたが、

「彼女はニューヨーク生まれで、母親はプエルトリコ出身。たしかに政界に入る前はバーテンダーやウェートレスとして働いていました。中間選挙で29歳という史上最年少の女性議員として当選したのは、2018年のこと。その後はAOCの愛称で知られ、気候変動問題などに積極的に取り組んできました。そして大統領選の民主党の指名争いで敗れたサンダース上院議員の下で働いていましたが、19年にはトランプ氏の標的となり、『この“進歩的”な民主党の女性議員は、世界で最も破滅的で、最悪で、腐敗した政府の国出身だ。国へ帰って、壊れて犯罪にまみれた場所を解決するのを助けたらどうだ』と差別発言をされた4人の女性議員のうちの1人として一躍名前が知られるようになった。つまり、皮肉なことにオカシオコルテスの名前を知らしめたのはトランプ氏だったということです」(同)

 さて、高関税負担によるインフレ加速や景気減速が懸念される中、低所得層や労働者層の味方を自認するオカシオコルテス氏の言葉が米国民にどう届くのか。注目が集まっている。

(灯倫太郎)

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