全世界に約2万5000店を展開し、ファストフードチェーンではマクドナルド、サブウェイに次ぐ規模を誇るKFC。同社をはじめ、ピザハットなど複数のメガチェーンを傘下に収める米国の外食大手ヤム・ブランズ社は、2月18日にKFCの本社をケンタッキー州ルイビルからテキサス州プレイノに移転すると発表。
同州は法人税が安いことがその理由で、イーロン・マスク氏がCEOを務めるテスラ社も21年に移転している。米国企業にとっては人気の移転先だが、それでも今回の移転発表は世界中で大きな衝撃を与えている。
その理由はブランド名にある。現在はKFCが同チェーンの正式名称だが、かつては「ケンタッキーフライドチキン」。今も「ケンタッキー」や「ケンタ」と呼ぶ人も多いだろう。もともとKFCは略称であり、「K」はケンタッキーの頭文字。誰もが知っていることだけに、世界中で《名前はどうなる？》と今後の店舗名、社名を気にする声は少なくない。
実際、米国のネット上では《テキサス州に移転ならTFCにすべき》との意見もあるが、同じく世界展開する「テキサスチキン」というライバルチェーンも存在。そのため、《名前が被ってややこしい》《いや、それはそれで面白い》など勝手に論争が繰り広げられている。
だが、ヤム・ブランズ社からは本社移転の発表のみ。今のところ、KFCの名称変更についての話は出ていない。
「改名はないでしょうね。世界中の人が知っているブランドなのに、本社が移転したからといって変えるメリットはありません。それにテキサスチキンだって本社があるのはジョージア州。一部ネット民の主張で言うなら、ジョージアチキンに変えなければならなくなります（笑）」（経済誌記者）
言われてみると、国内最大手のうどんチェーン「丸亀製麺」も香川県丸亀市に本社はないし、創業の地でもない。創業者の父親が丸亀の旧制中学に通っていたからという「単純な理由」だそうで、本人がメディアのインタビューで答えている。
「そもそもネット上のKFCの本社移転をめぐる社名変更論争も本気のものではありません。大喜利的な投稿も多いですし、ジョーク混じりにイジっているだけです」（同）
だが、そこは米国の企業。4月のエイプリルフールに便乗して自ら改名ネタを投稿してきたりして。
