ワークマンはなぜ「ワークマン女子」を廃止したか…3回目の業態変更で目指す「ユニクロ超え」

 作業着からカジュアル衣料へ参入し、いまや一般客向けの商品展開も人気の作業着大手「ワークマン」だが、あろうことか職人たちの反感を買っているという。

 なんでも、本業であるはずの「プロ向け商品」が手薄になり、行き場を失った職人たちが、ホームセンターのプロショップへと流れるようになったというのだ。

「2020年に登場した『ワークマン女子』は、安くて可愛いらしいデザインのアウターを次々と世に出し、ユニクロなど既存のチェーン店から多くの女性客を奪ったと言われました。しかしその一方で、もともとの主要顧客である男性が離れつつあるというのです」(衣料ジャーナリスト)

 だからかどうか、ここにきてワークマンは、「ワークマン女子」を廃止することを発表した。「#ワークマン女子」78店舗を、順次「ワークマンカラーズ」に変更するという。そして、2月20日には「ワークマンカラーズ桜井店」(奈良県桜井市)を含む4店舗を同時にスタートさせた。

 そもそも、ワークマン女子は、女性向けの専門店というわけではなく、半数近くの商品は男性用だった。また、他にも子供服を扱っているので、どちらかというとファミリー向けといっていい。すでに女性への認知度は高まったので、その役割を終えたということかもしれない。

 もっとも、これによって、プロショップへの原点回帰が行われるというわけではないようだ。

「あくまでもブランドの拡充によって、既存のワークマンとの差別化をはかるということのようです。これにより、2032年までにしまむらの約1400店、ユニクロの約800店を超える国内店舗数1500店体制を目指すとしています。ただ、ワークマン、ワークマンプロ、ワークマンプラスなど、良く言えばバラエティ豊富な業務展開をしているワークマンですが、一方で、それぞれの違いがわかり難いとも指摘されていますね」(チェーンストア研究家)

「店名の3回の変更は単なる迷走か、客層拡大のための進化か」とは、業態変更の際にワークマンがメディアに対して放った言葉だが、くれぐれも前者にならぬよう「進化」であってほしいものだ。

(ケン高田)

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