コメ価格の「高止まり」は春先まで続く…背景にある「JA・卸・小売り」の買い付け合戦とは

 急騰したコメの価格の高止まりが依然として続いている。コメどころの新潟県では、農業再生協議会がコメの安定供給に向けて主食用米の生産目標を約2万トンに引き上げることを決定。作付けを検討する農家も出てきたが、だからといってすぐさま価格が下がるわけでもない。

 全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長は1月9日、コメ価格の高騰について、「このまま高値基調が続けば消費者がコメ離れする。適正価格を求めたい」とコメントした。もっとも、このコメントに違和感を持った関係者や消費者は少なくないようだ。

「高止まりの背景には、JAグループや卸業者、小売り業者などによる激しい買い付け合戦があり、各業者が前倒しで在庫確保に動いたことが大きく影響しています。最近は、小売や外食業者が直接農家にアプローチし、高値で米を確保するケースも目立っていますね」(流通ジャーナリスト)

 消費者からは、《こういう時こそJAが高値で買い取って市場に放出して》《農家にそっぽを向かれたJAが競合業者に文句をいってるだけ》といった批判的な意見の一方、《安く買いたい消費者がJA叩くのはちょっと違う。JAがなかったら、まだまだ値上がる一方》など、様々な声が上がっている。

「本来であれば国内最大の買付業者であるJAにコメが集まるのですが、在庫不足によって卸業者による産地でのコメの奪い合いが発生し、買い付け競争がさらに激化する悪循環に陥っています。少なくとも春先までは現在の価格水準が続くと見られています」(前出・ジャーナリスト)

 価格引き下げのためには、政府による備蓄米の放出などが考えられるが、関係省内では「かえって混乱を招きかねない」と、否定的な意見が多いという。

 いい加減に価格が下がらないと、さらなるコメ離れが加速してしまうかもしれない。

(ケン高田)

ライフ