「割に合わない」「とにかく地獄」宅配業、タワマン配達拒否問題のリアル

 最近、宅配業者やフードデリバリーの配達員の間で「できれば行きたくない」と難所化しているタワーマンション。実際、副業で配達員のアルバイトをしている佐藤武司さん(仮名・20代)によれば、タワマンの配達拒否は「それほど珍しいことはない」と明かす。

「私も届け先がタワマンの場合、注文は受けないことが多いです。単純に配達に時間がかかって効率が悪いので…」(佐藤さん)

 タワマンは入館の手続きが面倒なうえ、エレベーターも混雑しやすい。また、主流になりつつあるエントランスの宅配ボックスの利用についても、制約が存在する。

「エントランスの宅配ボックスに置いて終了ならいいのですが、タワマンによっては『フードデリバリーNG』の宅配ボックスもあるからです。そうなると上まで行かなければならず、割に合わない。タワマンは配送料を値上げしてほしいですよ」(同)

 こうした“悲鳴”は運送会社からも聞かれる。昨年まで大手運送会社で配達員をしていた中村正嗣さん(仮名・30代)は、タワマンの多いエリアを担当していたが「とにかく地獄だった」と当時を振り返る。

「置き配指定をせずに不在再配達になるケースが意外と多い。タワマンはその手間が普通のマンションや一軒家よりもかかるんです。タワマンのないエリアを担当していたころより1日の配達数は明らかに落ちていました。会社的な配達ノルマはないですけど、上司がプレッシャーをかけてくる人間だったので肩身が狭かったです」(中村さん)

 一方、タワマンの住民の間でも配達予定時間を大幅に遅れるという話はよく聞く。今年春まで都内のタワマンに住んでいた吉竹聡さん(仮名・40代)は、デリバリー環境に対する不満を引っ越しの理由のひとつに挙げる。

「配達員の現在位置を確認できるじゃないですか。以前はウチのタワマンまで来ているのに入館手続きに時間がかかるため、そこから配達完了になるまでが長かったんです。その点、今は普通のマンションなので注文してもほぼ時間通り。おかげでストレスはなくなりました(笑)」(吉竹さん)

 タワマンにおけるフードデリバリーなどの宅配環境の良し悪しは思った以上に大きい。口コミサイトに情報が投稿されている場合もあるため、引っ越しを検討している方は事前にチェックしておくことをオススメしたい。

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