「新聞読むまで知らなかった」高市早苗氏の総裁選“猛追”が心許ない「裏金議員」が推薦人の致命傷

 長年、“日本初の女性総理”になるのは小池百合子都知事ではと見られていたが、今、最もその座に近いと言われて始めているのが、自民党総裁選に出馬している高市早苗経済安全保障担当相だ。何せ9月の共同通信の世論調査では自民党支持層支持率で高市氏が二番目の石破元幹事長に4ポイントも差をつけ27.7%でトップに躍り出ている。

 高市氏の人気急浮上には、3つの大きな理由があるという。政治アナリストの話。

「ひとつは、全国に配布された30万通ともいわれる高市氏の政策リーフレット。自民党は今回の総裁選で“カネのかからない選挙”を掲げ、9月3日に政策リーフレットの郵送を禁止した。ところがその3日以降になっても、高市氏のリーフレットが続々と自民党員に届けられた。これに当然、他候補の陣営からは『ルール違反だ!』と抗議しましたが、高市陣営は『8月中に送ったものなのでルール違反ではない』と猛反論している。ただ、いずれにせよこのリーフレットにより高市氏の政策が全国党員に浸透したことは否定できません」

 2つ目の理由を先のアナリストがこう指摘する。

「アベノミクス継承の積極財政です。これが中小企業はもちろん、経済界からも歓迎されている。東京商工リサーチが全国5921社対象にした『企業に景気や自社ビジネスの発展に寄与すると思う候補者』の調査でもトップは24.4%で高市氏で、次点の石破元幹事長(16.9%)に大差をつけた。高市氏の積極財政論がここに結びついているわけです」

 そして3つめは昨今の海外情勢が影響している。

「北朝鮮、中国、ロシアとの緊張関係が続く中で、日本のトップは強い人でなければという国民意識が強まっている。日ごろから強い日本、国を守ると言動のハッキリしている高市氏には、これが追い風になっていることは間違いありません」(同)

 ただし一方で、懸念する声もある。政治部記者が指摘する。

「ズバリ政治資金パーティーの裏金問題。高市氏の推薦人には、裏金を受け取っていたことを党本部に公表された議員が20人中13人も入っている。本人は17日、TBS系のニュース番組で『推薦人は選対に任せていたので翌日の新聞を読むまで知らなかった』などと釈明していますが、これは当然、大きなマイナスになる。猛追とはいえ、その理由を心許ないものにしており、致命傷になりかねない状況です」(同)

 いずれにせよ、高市氏の動向から目が離せない自民党総裁選最終盤だ。

(田村建光)

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