JR各社は否定するけど…青春18きっぷ「今冬で廃止」が浮上するこれだけの理由

 毎年、春と夏、冬に期間限定で発売される快速・普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」。例年は2月中に翌年度の発売期間と利用期間が発表されるが、今年は1月に春の発売情報のみが発表されていた。しかも、夏に関しては、発売開始(7月1日~。利用期間は7月20日~9月10日)が目前に迫った6月18日のことだった。そのため、鉄道ファンの間で「18きっぷ廃止」の憶測がネット上を駆け巡ったのだった。

 こうした青春18きっぷの「異変」については、テレビや新聞各社も報じた。ただ、メディアの取材に対してJR各社は、「現時点で廃止の予定はない」と回答している。だが…。

「18きっぷの発売は、グループ各社がその都度協議を重ねて決定しています。しかし、今年から発表が1年分まとめてではなく、シーズン毎になった。内部で見直しを求める声が上がったと見るべきで、決して存続について保証したというわけではありません」(鉄道専門誌編集者)

 また、廃止の噂の背景には、JRを取り巻く路線事情もあるという。

「青春18きっぷだけでは、本州から北海道に行くことはできません。適応外区間となる北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内、道南いさりび鉄道の木古内~五稜郭の移動には『青春18きっぷオプション券』(2490円)が必要なんです。他にも新幹線開通に伴い、第三セクター化された盛岡~新青森、軽井沢~篠ノ井、敦賀~直江津、八代~川内などの区間も利用できず、各社の乗車券を別途購入しなければならない。発売当初の1982年と比べると路線数も減り、昔と比べて使い勝手が悪くなっている。そのため、廃止や代替となる新きっぷの案などの話し合いが行われていると思われます」(前出・編集者)

 ただし、青春18きっぷは年間60万枚以上を売り上げる、JRの企画きっぷの中でも最大の売れ筋商品である。

「必要最小限のプロモーションで大きな需要を生んでいるわけですから、商品として大変コスパに優れています。それだけに『今年の冬で廃止』はないと思いたいところですが…」(前出・編集者)

 今のところ、冬の発売は未定。廃止か存続か、あるいは新きっぷの発行か、鉄道ファンはJRの動向を固唾を呑んで見守っている。

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