ロシア、北朝鮮にも「女性リーダー」の波が!「世界の火薬庫」が一変する可能性

 今、世界の主要国家の政治リーダーに続々と女性が進出、もしくは進出する可能性が一段と強まっている。何が起きているのか。通信社記者が言う。

「フランスでは、勢いのある右派『国民連合』の実質的女性リーダー、マリーヌ・ルペン氏が2027年に大統領となる可能性が高まっている。6月欧州議会選で国民連合はマクロン大統領が率いる与党連合に圧勝しています」

 事態を恐れたマクロン大統領は下院にあたる国民議会の解散総選挙を表明、巻き返しに躍起だ。だが仏世論調査では、国民議会選挙で国民連合が第1党になると予想されている。

「国民連合の強さは、トランプ前米大統領の『アメリカ・ファースト』同様、『EUよりフランス・ファースト』を掲げ、苦しい庶民生活を支えることを第一に示しているからです」(同)

 右派といえば、イタリアのメローニ首相も右派政党出身の首相だ。6月のG7の議長国としても存在感を示し、さらに欧州議会選挙でもメロー二首相の率いる「イタリアの同胞」は得票を伸ばし安定感を増している。

 世界の火薬庫となりつつあるロシアでも将来の女性リーダーの目が見え隠れする。アメリカのシンクタンク関係者が明かす。

「このほどロシアのプーチン大統領の娘2人がロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムに突然そろって登場、話題をさらったのです」

 ひとりはプーチン氏の長女で、小児内分泌学の専門家マリヤ・ボロンツォワ氏(39)。ロシア科学振興協会を代表してセッションに登壇、学校教育での生物学の重要性などについて訴えた。そして、もうひとりは次女のカテリーナ・チホノワ氏(37)で今は国家知力発展財団(NIDF)の全責任者。チホノワ氏はこの日、ビデオ講演し「外国企業が撤退したいまは、ロシア企業がとってかわるチャンスだ」と、まるでプーチン大統領を代弁するかのように熱弁をふるった。

 それにしても、なぜこのタイミングで2人が公の場で目立つ振る舞いに出たのか。先のシンクタンク関係者はこう分析する。

「5期目に入ったプーチン大統領もいよいよ後継を決めなければならない。後継候補はたくさんいるがプーチンにすれば『あわよくば自分の血を引く者』と考えている節がある」

 女性後継という点で可能性が高まっているのは北朝鮮もしかりだ。北朝鮮ウォッチャーが言う。

「韓国の国家情報院は最近、北朝鮮の金正恩総書記の娘・金主愛(キム・ジュエ)氏を22年からミサイル実験や軍事パレードに同行させている点を踏まえ、『ジュエ氏を金総書記の最有力後継者と見ている』という見解を明らかにしている」

 その上で、こう明かす。

「ジュエ氏はまだ11、12歳だから、10年後を見据えての後継者。帝王学を学ばせるためミサイル実験にまで立ち会わせているのでしょう。10年たたずに金正恩総書記に何かあれば妹の金与正氏がつなぎで最高責任者を務める可能性もある」(同)

 女性リーダーはメキシコでも誕生した。6月のメキシコ大統領選挙でクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長が当選し、メキシコ初の女性大統領に選ばれた。

 女性リーダーのメリットは何か。前出・シンクタンク関係者が分析する。

「男性リーダーでは一度エスカレートすると目には目、歯には歯で暴力的な戦争が繰り返される。その点、その戦争で犠牲になるのは女性と子どもが多い。女性リーダーの誕生は弱者の視点を取り戻す政治が期待されることと、エスカレートする憎しみの負の連鎖を断ち切りリセットできる利点もある。いま女性リーダーが増えつつあることは、地球危機に対する人類の知恵か警鐘なのか」

 ひるがえって日本では、都知事はともかく永田町では女性首相の足音はいまだ聞こえない。

(田村建光)

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