6月6日~12日の1週間にAsageiBizで配信し、多くのアクセスを集めた記事を紹介する。国民感情をここまで理解していないのかと視聴者を落胆させたのは自民党の稲田朋美氏。政治資金規正法改正案に対する野党議員の追及に反論したのだが、内容がなさすぎてツッコッミが殺到することに‥‥。(初公開は6月10日)
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6月6日、政治資金規正法の改正案が自民党、公明党、日本維新の会などの賛成で衆議院本会議を通過した。これを受けて、9日放送の討論番組「日曜討論」(NHK)に与野党の幹部が出演。自民党の幹事長代理を務める稲田朋美衆院議員が野党の批判に反論する中で、トンデモ発言を繰り出して視聴者の失笑を買っている。
日本共産党の小池晃書記局長は、「企業・団体献金の禁止がすっぽり抜け落ちた法案を提案して通してしまった」と述べ、「抜本改革にならない」「こういうもので幕引きを図るのは許されない」と断じた。
小池氏の批判に対して、稲田氏は「何もやってないとおっしゃいましたけど、公明党の意見も聞いて、パーティー券の公開の基準も5万円に下げておりますし」とパーティー券購入者の公開基準を引き下げた点を強調していた。
その後、小池氏は「『5万円にした』とおっしゃるけれども、これ1回だけですから。パーティー、2回3回4回やっていったらどんどん上限がふくらむ。しかも施行が2027年1月。2年半後ですよ。2年半、パーティーやり放題じゃないですか」と抜け穴を指摘した。これに稲田氏は「5万円だったら何回でもできるっておっしゃいますけど、それにも手間もかかりますし」と述べて、今回の改正案に「政策活動費の透明性を図る」という点で、「非常に大きな進歩」と強調した。
稲田氏が「パーティーを何回もするのは手間がかかる」と反論したことに、SNS上では《5万円もらえるんだから手間かけなよ》《手間がかかるから何回もできないわよ!ってこと?》《裏金作りで手間を惜しまないでほしい》などとツッコミの声が殺到していた。
「共産党の小池氏が指摘したように、自民党の修正案では施行日が26年1月1日となっていますが、政治資金パーティーの公開基準の引き下げの項目に限っては1年先延ばしとなり、27年1月の施行。およそ2年半はこれまで通り、パーティーがやり放題となっています。そもそも、裏金問題の発端は派閥の政治資金パ-ティーであるにもかかわらず、“本丸”の改正は公開基準の引き下げのみ。しかも当初は『5万円超』ではなく『10万円超』で法案を通そうとしていました。国民にはインボイス制度や定額減税額の給与明細記載義務化など、さまざまな手間を強制しておいて、政治資金パーティーの手間を強調するとは、国民感情をいっさい理解していないと言えるでしょう」(政治ジャーナリスト)
公開基準が5万円に引き下げられても、手間さえかければ金は集め放題ということか。参院本会議では実のある議論を期待したい。