6月29日に在職日数「1000日」を迎える岸田文雄総理。政治とカネの問題が起きれば責任転嫁でやり過ごし、国民に嫌われても知らぬ存ぜぬで居座り続ける。気がつけば在職日数で歴代8位に躍り出ていた。ならば、せめて自慢の「聞く力」とやらで、歴代総理の〝スゴ技〟を見習ってほしいものだ。
永田町で〝今年一番のミステリー〟と騒がれたのは、5月5日に報じられたJNNの世論調査だった。4月28日に投開票が行われた3つの補欠選挙では〝全敗〟したにもかかわらず、岸田政権の支持率が前回の調査より7.0ポイントも上がり、29.8%になったのだ。自民党関係者が衝撃の余波を語る。
「岸田文雄総理(66)はゴールデンウィークにフランス、ブラジル、パラグアイを歴訪。外遊が評価されたと上機嫌でした。一方、党内の議員は支持率上昇に懐疑的で、『総理が勘違いして自信をつけたら困る』『9月の党総裁選で代えればいいと思っていたのに、やる気を出さないでほしい』と戸惑っています」
これまで逆風が吹いても、対抗馬不在をいいことに、のらりくらりと〝延命〟してきた岸田政権。国民からは「増税メガネ」や「検討使」と揶揄され、歴代の宰相と比較しても、立ち居振る舞いはお粗末な限りだ。
得意分野と自負する「外交」では、4月に国賓待遇で訪米。大統領専用車両「ビースト」に乗せてもらって、満面の笑みを浮かべると、米議会ではジョークを交えてスピーチを行い、日米関係の親密さをアピールした。
だが、それから1カ月も経たぬうちに、バイデン大統領(81)は選挙集会で「日本は外国人が嫌い」と発言。慌てた日本政府は抗議に奔走した。作家で政治ジャーナリストの山村明義氏はこう指摘する。
「バイデン大統領とうまくいっているように見えて、実際は訪米しても信頼関係が作れていないことを証明した発言でした」
その山村氏は、日米関係に長けていた歴代総理に安倍晋三氏の名前を挙げた。
記憶に新しいところでは、世界が警戒した〝暴れ馬〟のトランプ元大統領(77)の手綱を握り、14年まで遡れば、尖閣諸島をめぐって日本と中国の間で緊張関係がみなぎる中、当時のオバマ大統領(62)を味方につけた。
「従来の日米安保条約では、米国に防衛が義務づけられているか、解釈は曖昧でした。そこで首脳会談後の会見でオバマ氏に、『尖閣は安保の適用対象』と明言させたのです。功績としてあまり語られていませんが、すさまじい外交の成果でした」(山村氏)
北朝鮮の拉致問題でも、岸田総理は「(総理)直轄のハイレベルな協議」を掲げるが、一向に進展はなかった。自民党関係者は言う。
「岸田総理は、02年に当時の小泉純一郎総理(82)が電撃訪朝し、5人の拉致被害者を帰国させた奪還劇の再現を画策していますが、北朝鮮側からは『接触も交渉も拒否』と、強気な姿勢で下に見られています」
外交は「舐められたら終わり」と山村氏が言うように、小泉氏は同行した安倍晋三官房副長官からこうアドバイスを受けていた。
「当時から交渉術に長けていた安倍さんは、『握手する時は頭を下げない』『帰国便のタラップに足をかけるまで譲歩しない』などと小泉総理に進言していました。予想外の態度に北朝鮮側は面食らい、主導権は日本にあったと聞いています」(政治部デスク)
弱腰外交はもうコリゴリであり、対北朝鮮政策は強硬路線の踏襲で突破口を切り開いてほしいものだ。
(つづく)