衆院の3つの補選が4月28日に投開票され、立憲民主党が3戦全勝、自民党は候補者を立てずに事実上不戦敗した東京15区、長崎3区をあわせて3議席を失った格好だ。
「自民関係者に衝撃を与えたのは、全国で唯一、中選挙区時代も含めて自民党が議席を独占していた島根県で、立民の候補者に惨敗してしまったこと。保守王国の島根でこの体たらくですから、来たる衆院選ではどれだけの議席を失うことになるのか。岸田総理はしばらく解散のカードを切れなくなりましたね」(政治記者)
そんな中で注目されたのは、東京15区の選挙結果だという。
「9人もの候補者が出馬した乱戦で、立民の酒井菜摘氏が優勢だろうとは予想されていましたが、次点から5位までは団子だろうと考えられていました。作家の乙武洋匡氏を推薦した国民民主や都民ファーストの関係者も、乙武氏が負けるにしても次点ではと考えていたようです。ところがフタを開けてみれば乙武氏はまさかの5位。得票数は酒井氏の半分にも満たず、まさに惨敗でした」(前出・政治記者)
乙武氏の敗因は一体何だったのか。
「小池百合子都知事は当初、自公の推薦を取り付けたかったようですが、『自民党に応援されたら、かえってマイナス』などという乙武氏の発言もあって自民党は推薦を断念。公明も、乙武氏の過去の女性スキャンダルを問題視して推薦しなかった。小池知事にとっては目論見がはずれてしまいました」
乙武氏は「申し訳ない」と、涙をにじませて頭を下げたが、果たして惨敗の責任は乙武氏だけにあるのか。
「実は、それ以上に深刻なのは、小池知事の影響力の低下だろうと陣営では囁かれているのです。補選の1週前、東京の目黒区長選が行われ、国民民主と都民ファーストが推薦した元都議の伊藤悠氏には小池都知事や玉木雄一郎・国民民主代表が応援に駆けつけたのですが、現職の青木英二氏の次点に終わり、都知事の“神通力”はすっかり弱まったようだと、翌週の惨敗を危惧する向きもあったのです。2週続けて“連敗”となったのは小池さんの学歴詐称問題が蒸し返された影響もあったのでは」(前出・政治記者)
過去2回の東京都知事選では圧勝した小池氏だが、7月に予定されている「3度目の都知事選」は、そう簡単にはいかないようだ。
(石見剣)