2月15日、在職日数が戦後歴代10位へ躍り出たのはなんと岸田総理。21年10月の就任以来、「検討士」「増税メガネ」などと批判を浴び、支持率は下がる一方。おまけに党内は統一教会問題から裏金問題までスキャンダルの大安売り。にもかかわらず、国民をあざ笑うかのように無双内閣とはこれいかに!
「これは政界の七不思議のひとつですよ」
意外に息が長くなった岸田内閣を訝るのは、ジャーナリストの山村明義氏。現在、在職日数戦後歴代10位の岸田文雄総理(66)は、3月8日には田中角栄、4月24日には橋本龍太郎を抜き、歴代8位に躍り出る。だが、
「政界には『青木の法則』という言葉があります。昨年亡くなった“参院のドン”こと青木幹雄さんが提唱した、与党の支持率と時の政権の支持率の合計の和が50を割ると、その政権は退陣する、という論ですが、岸田政権はこのケースに当てはまるにもかかわらず、まだ続いている。きわめて稀有な状況だと思います」(山村氏)
産経新聞社とフジニュースネットワークが2月19日に発表した合同世論調査では、自民党支持率が岸田政権発足後最低の24.8%で、政権支持率との合算が47ポイント強にとどまっている。とっくに岸田政権は「危険水域」の真っ只中なのだ。
にもかかわらず、政権交代の空気は微塵も感じられない。国民のモヤモヤは続く一方なのだ。
政権の延命化を助けているのは、まず第一に野党のだらしなさだ––山村氏が言及する。
「自民党が顔色を変えるような国会質問をする野党議員が、まったく見当たりません。いい一次情報を取ることができずに週刊誌報道の内容を追及したり、発言の揚げ足を取ることに終始しています。批判だけで対案を出せないから、政権支持率が下がり続けても、相対的に野党の支持率が上がってこない。『野党よりもAIチャットの方がまだましだ。少なくとも代替案を示してくれるからな』なんて言う自民関係者もいますよ」
だからこそ国民の目線では、「岸田はキラいだけど、他に任せられる政党もないし、しょうがないな」となってしまうわけだ。同じことは自民党内の後継者不在問題にも言える。政治部記者によれば、
「石破茂議員(67)や河野太郎デジタル相(61)、高市早苗経済安保相(62)、上川陽子外相(71)あたりの名前が挙がりますが、いずれも総理の器かと問われたら、現時点ではイエスとは言えない。適任者が皆無で、岸田総理が続けるしかないわけです。しかも派閥政治を解消したから、党内の若手議員が育つ余地を、岸田総理みずからが断ったと捉えることもできます」(政治部記者)
加えて今は、日経平均株価が史上最高値を更新し、4万円の大台に迫るなど令和の株バブルの真っ最中。春闘で賃金が上がるとなれば、国民としては多少の不満を飲み込まざるをえず、政権批判ひいては政権交代の声は上げづらい状況だ。
「本当は故・安倍晋三元総理と菅義偉前総理(75)が種を蒔き、水をやった経済政策で、ようやく花が咲いただけのこと。岸田降ろしが現状起きていないのは、国民も党内も、今は様子見をしているだけだと思います」(政治部記者)
悲しいかな、総理の政治手腕が評価されたわけではないのだ。
(つづく)