先ごろ巨人の阿部慎之助監督が、指導要綱を小冊子にまとめた「阿部の十か条」を首脳陣に配布したという。
小冊子には「自己犠牲ができる選手を起用していく」「数字だけを見て一軍、二軍の昇降格を決めない」「二軍からいきなり一軍で先発させない」などといった項目が記され、中でも阿部監督が強く意識しているのが「選手を絶対に萎縮させないこと」なのだとか。
今季、「球界の盟主」の再建を託された阿部監督は、二軍監督時代から“昭和の野球”スタイルを貫きスパルタ指導で知られてきた。それは現役時の後輩への指導から始まり、中でもそれが表面に出たのが「沢村ポカリ事件」と言っていいだろう。
2012年の日本ハムとの日本シリーズで、マスクをかぶっていた阿部監督は2塁への牽制球のサインを見落とした沢村拓一投手に激怒。マウンドへ歩み寄り鬼の形相で「しっかりしろお前!」と一喝。大観衆の前で沢村の頭をポカリと叩いた一件だ。スポーツライターが語る。
「阿部監督は今になって『選手を委縮させない』などと『脱昭和スタイル』を掲げていますが、一方で『練習後は上司と飲みニケーションすべし』『休日は上司とゴルフすべし』といった若者が一番嫌うキャンプでの過ごし方を求めています。選手も戸惑っているんじゃないでしょうか。コーチ陣から見れば“どっちやねん”でしょうね(笑)。阿部監督の身になれば、まずチームに浸透させたいのは『脱・原前監督カラー』。本来は現役時代のように不甲斐ない選手をポカリとやりたい性分なのでしょうが、いずれにせよブレない指揮官でいてほしいものです」
そもそも阿部監督は「昭和」といっても54年生まれで、本当のスパルタを知らないどっちつかずの世代。若者に合わせなければならない点も含め、難しいところではある。
(ケン高田)