近年、大手飲食チェーン店を中心にスマートフォンで注文する「モバイルオーダーシステム」が急増している。
店側はオーダーに人員を割く必要がなくなり、作業効率が上がるため、人材不足を補えるというメリットがある。また利用者側もゆっくりとメニューを選ぶことができることや、キャッシュレス決済などで時間を有効活用できるなど、一見いいことずくめのようにも見える。
ところが利用者の中には、すんなりと受け入れることができない人も少なくないようだ。
「中高年や老年世代にはいまだに“ガラケー”を使っている人も多く、そもそもモバイルオーダーに対応できない人は結局、店員を呼ばなくてはなりません。また、自分のスマホを使用してオーダーするケースでは、バッテリーの容量を気にする人も少なくありませんね。また、中には、店内Wi-Fiを設置していない店舗もあり、ムダにパケットを消費したくないという声や、地下で電波が弱く、きちんと注文が通っているか心配になったという声も聞こえてきます。店にとってはコストカットになりますが、まだまだ全ての客が大歓迎とはいかないようです」(フードジャーナリスト)
「ミラノ風ドリア」や「辛みチキン」など低価格な商品で、多くのファンを惹きつけているイタリアンレストランチェーン・サイゼリヤは、昨年冬頃からスマホを使った注文方式を導入。デザートの「イタリアンジェラート」欄では、「(すぐに)3205」「(あとで)3905」という2つの番号が並んでおり、デザートの提供時間も指定できるという優れものだが、一部の客からは「WN03と書く日は終わったのか」などと、紙の注文方式を懐かしむ声も上がっているとか。
いずれにしても、人手不足で効率化が求められている以上、今後はQRコードなどをスマホで読み込んでオーダーする方式が主流になっていくのは間違いないだろう。
(ケン高田)