東京の羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突事故を起こしたのは1月2日のこと。日航機の乗員乗客379人全員が脱出できたことについて、海外メディアは「奇跡的だ」と報じ、日本航空の赤坂祐二社長は「プロとしての仕事をしっかりやってくれた」と乗務員を称えたのだが、1月5日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、この対応に「80点」という点数をつける一幕が見られ、物議を醸している。
この日、番組で取り上げたのは、事故機の乗客が撮影していた約8分間の映像。動画は衝突直後から始まり、窓の外には燃え盛るオレンジ色の炎が見える。煙がこもる暗い機内では、CAが「鼻と口を覆って姿勢を低くしてください」と繰り返し、避難指示が出たのは、撮影開始からおよそ6分20秒後のこと。撮影者の乗客は、その約1分後には機体から離れた場所に避難していた。
その後、ナレーションで「煙が充満するよりも、もう少し早く避難できなかったのでしょうか?」と問題提起。元日本航空機長の塚原利夫氏は「火災のいわゆるいちばんひどい場所がどこかという判断をするのがこの場合には大変難しい」として、「脱出口を開けて炎が入ってくるような脱出口は開けません」「開けるドアを決定するまでに時間を要している」と安全な脱出口を特定するために、時間を要したと分析した。
これを受けて、スタジオではMCの羽鳥慎一アナが「炎と煙が迫る中で、非常に客室乗務員、乗客の方も冷静な行動だったのかな、というふうに思います」と話を振ったのは労働社会学者の常見陽平氏。金曜レギュラーでタレントの長嶋一茂が番組を欠席したため、その“代役”として出演した常見氏はこう答えた。
「結果にしてもプロセスにしても合格点以上といいますか、結果は満点、プロセスは80点以上だったんじゃないかなと思います」
常見氏はCAの指示について「かなり強めのトーンで言っていた」と振り返り、「これが有効だった」と指摘。岸田文雄総理が掲げる「人への投資」「リスキリング」に触れて「目の前の仕事のトレーニングの機会が十分だったかどうか」と問題提起して、危機管理のためのトレーニングの必要性を訴えた。
この「80点発言」に、SNSでは《点数なんかつけることじゃない》《80点ってどんな根拠が?》《80点の出来って何様?》《JALの事故対応に専門外が80点とかつけるなよ》などと批判が殺到していた。
「今回の事故については、BBCなど欧米メディアが『奇跡の脱出劇』と称賛していますし、わざわざ点数をつける必要はなかったと思います。たしかに乗客からは『状況を説明してほしい』という声があがっていたそうですが、CAは情報の共有を優先して、最善の方法で乗客全員を避難させることができたのですから、『80点以上』という表現には違和感を覚えます」(メディア誌ライター)
事故機に搭乗していたCA8名の冷静な対応に賛辞を送りたい。