うまく軌道に乗せているのは、若き岡本だけではない。後半戦の勝負どころで打棒を爆発させているゲレーロ(32)に対しても同様だった。
「原監督は春季キャンプ中から時に通訳を交えず、ボディランゲージを使いながら打撃に関する助言を送ったり、和ませるために冗談を言ったりするなど、硬軟の使い分けでお互いの距離感を縮めてきた。不振のため2軍降格となった際も、吉村コーチや後藤コーチ、元木コーチをわざわざファーム練習中のジャイアンツ球場へ派遣し、ゲレーロとの意思疎通を損なわないように努めることも徹底した」(スポーツ紙デスク)
ゲレーロ自身が「自分にとって原監督の存在はとても大きい。『何でも相談してくれ』と言ってくれている」と感謝の念を表している。
思えば、移籍1年目の昨季、ゲレーロは気難しい気分屋の問題児として扱われていた。シーズン序盤こそ好調だったものの、6月半ばに2軍降格となって以降、当時の高橋由伸監督(44)ら首脳陣との意思疎通がうまくいかずに対立。7月にはジャイアンツ球場の2軍練習を視察した高橋監督に対して「自分と何の話もしないまま帰ってしまった」「ゼロコミュニケーション」などと、集まっていた報道陣に怒りをぶちまける騒動も発生していたほど。
「所属選手と密な意思疎通をほとんどしていなかった前指揮官とは打って変わり、原監督の積極的な対話路線で、1、2軍の連携もしっかりいっています。時に三澤興一(45)、木佐貫洋(39)、杉内俊哉(38)といったファームの投手コーチを1軍に呼んでは研修させ、各選手の状態を教えて、ミーティングのタイミングや試合前のルーティーンなどを2軍とも共有できるようにし、風通しがいい」(スポーツ紙デスク)
一方、原監督は7月30日の広島戦で史上13人目の監督通算1000勝を達成。同一球団で1000勝以上は5人目の快挙となり、巨人では1066勝の川上監督と1034勝の長嶋監督に次ぐ大記録到達だ。先の球団関係者からは、こんな声まで聞こえてくるのだ。
「最高の栄誉をひそかに用意しようと検討している。長嶋終身名誉監督に次ぐ『総監督』のポストだ。原監督は過去11年の監督歴で7度のリーグVに、日本一も3度達成している。成績上では、すでにミスター越えも果たしているわけだからね。そういう意味で、この先、監督を退任したとしても、球団に名誉職で残れる形にしておくべきだろう」
通算3度目のG指揮官就任で「原マジック」はさらに磨きがかかりそうな気配。このまま令和初のリーグ覇者となるか─。