渋野日向子で激化する「東京五輪枠」バトル(1)芸能プロも参入する大争奪戦

 日本女子ゴルフ界で42年ぶりとなる、海外メジャー制覇の偉業を達成した渋野日向子。全英女子オープンの爽快な戦いぶりは世界を魅了し、「スマイル・シンデレラ」と称賛された。一夜にして巻き起こった渋野フィーバーの裏では、東京五輪の出場切符を巡る戦いが激化。ますますおもしろくなってきた。

 日本時間8月5日、プロ1年目、弱冠20歳の渋野日向子が海外メジャー初挑戦の大舞台で栄冠をつかんだ。スポーツ紙デスクが振り返る。

「42年前、樋口久子(73)が全米女子プロで優勝して以来、海外メジャー制覇は男子の青木功(76)や尾崎将司(72)、女子の岡本綾子(68)や宮里藍(34)など、お歴々のレジェンドたちが跳ね返されてきた〝悲願〟だった。世界的に無名の渋野の全英女子オープン制覇は、まさに快挙でした」

 渋野は昨年度のプロテストに合格したばかりで、今年の国内ツアー2戦目に6位入賞した時点では世界ランク412位だった。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)関係者が語る。

「その後の活躍がすさまじかった。5月のサロンパスカップでツアー初V&国内メジャー初制覇を飾り、97位までジャンプアップ。6月に全英女子の切符をギリギリで手に入れ、7月には2勝目を挙げるなど、夢舞台の前週ですでに46位まで躍進していました」

 この快進撃はまだまだ止まりそうにない。ゴルフジャーナリストの宮崎紘一氏が渋野の強さを解説する。

「海外メジャーは、フロックでは勝てない。渋野は日本人ゴルファーに対するイメージをことごとく覆しました。これまでの日本人ゴルファーは海外の難コースに対応できなかったり、勝負どころでパフォーマンスを落としたり‥‥。ところが、渋野はメンタル面がとても強い。その証しがバウンスバック率(ボギー以下のホール直後、バーディー以上をマーク)の高さ。特にダブルボギーのあとにしっかりと取り返す。バックナイン(後半9ホール)の強さにしても、難しいホールで結果を残している。得意のパッティングを生かし、強気に攻めるゴルフが渋野の持ち味であり、強さだね。まだまだ、驚かせてくれる」

 人気の秘密は強さばかりではない。試合中の笑顔が世界を魅了した。

「最近はメンタルトレーニングの影響から表情を出さないプレーヤーが続出しているだけに、渋野の天真爛漫ぶりがいっそう際立つ。子供好きで知られる渋野が試合中に子供たちとハイタッチする姿は印象的です。その姿勢は決してパフォーマンスなどではない。少女時代から指導を受けた大好きなソフトボールと、ゴルフのジュニア大会を自腹で地元開催することも発表している。人柄も渋野フィーバーの要因のひとつでしょう」(LPGA関係者)

 渋野が時の人となり、スポンサーもウハウハ状態。

「特に、5月にウエア契約したばかりの人気ブランド『BEAMS』は特別ボーナス『洋服100万円分』を発表した。全英女子で着ていたポロシャツが完売し、新作も予約殺到だけに、安いぐらいでしょう」(スポーツ紙デスク)

 新たに「Tポイント」との契約が発表され、マネージメント会社も決まった。広告代理店関係者が明かす。

「芸能プロも参戦するほどの争奪戦の末、08年賞金女王の古閑美保(37)が所属する『ゾーン』に決まった。現役組は有村智恵(31)と笠りつ子(31)だけですが、少数精鋭主義で、ゴルフ界に理解ある企業や民放各社とのパイプが強く、イベントや番組出演の采配にたけている点が決め手になりました。『米ツアー参戦よりも、国内ツアーを盛り上げたい』という渋野の意向にもマッチしているし、現役時代にお騒がせ娘だった古閑をフォローしてきた点も渋野の両親を安心させたのではないですか」

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