第105回全国高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会が行われた。注目は通算140本塁打の花巻東・佐々木麟太郎で、出場校の甲子園球場の見学が行われた7月31日には、多くのメディアからマイクを向けられていた。
「自分自身、記録は意識してないです。いつも通り、チームが勝つためにプレーしていきたい」
佐々木はそう答えていた。佐々木のフォア・ザ・チームの言葉にウソはないが、岩手県大会を振り返ってみると、ホームランはおろか、長打ナシ、決勝戦はベンチスタートとなっていた。
「背中を痛めているとし、岩手県大会前から心配する声も挙がっていました。ベストコンディションではなくても、彼は一生懸命やっていましたが」(地元メディア)
花巻東は菊池雄星、大谷翔平を輩出した甲子園常連校だ。しかし、今回のチームはこれまでとはちょっと様子が違う。
「菊池、大谷のいた時代は突出した天才がチームを牽引していた感じがします。しかし、今回のチームは佐々木クンだけのチームではありません」(同前)
佐々木に代わって4番も務めてきた千葉柚樹(3年)がいる。千葉も1年生からベンチ入りしてきたスラッガーだが、佐々木のホームランと飛距離のインパクトの影に隠れ、クローズアップされる機会はほとんどなかった。
しかし、チームの主将であり、岩手県大会でチームを牽引したのは間違いなく千葉のほう。2年生までは三塁を守ってきたが、今年はチーム事情もあって、背番号4。守備でも機敏な動きを見せていて、「各球団とも指名候補のリストに入っているはず」(在京球団スカウト)との話も聞かれる。
“天才”のワンマンチームではない今夏の花巻東が勝ち上がってくる可能性は高い。
(飯山満/スポーツライター)