一軍復帰の阪神・青柳が「新球」にかけるエースのメンツ

「新球」を試す相手はヤクルト打線となりそうだ。

 7月2日の巨人戦を引き分けた後、阪神・岡田彰布監督は同日先発の才木浩人の二軍降格を示唆した。5回2失点、2本のソロアーチを浴びたものの、決して内容が悪かったわけではない。今回の降格は「リフレッシュ休暇」のような雰囲気だが、関係者の話を総合すると、才木の代わりに昇格してくるのはエース・青柳晃洋で間違いないようだ。

「5月19日の広島戦でKOされ(5回7失点)、翌日に一軍登録抹消となりました。以後、青柳はファームで調整を続けてきました」(在阪メディア)

 青柳は同日のファーム戦に先発していた。才木と入れ替わるということで、9日のヤクルト戦の登板が濃厚だが、復活勝利のポイントは「新球」となりそうだ。

「カーブを習得しつつあります。ブルペンだけではなく、試合でも投げ込んでいました」(関係者)

 不振の原因は、投球スタイルだ。低めにスライダー、ツーシーム、チェンジアップを散りばめ、打ち損じを誘ってきたが、対戦チームに「覚えられた」感が否めなかった。それで、走者のいない場面でクイックモーションを使うなどして対戦バッターを惑わせてきたが、それも岡田監督に言わせれば、「コントロールを乱す元」と厳しかった。

 カーブ習得は新しい投球スタイルを見出すために不可欠でもあったわけだが、

「実戦で練習しているようなものだから、キャッチャーが構えているのとは全然違うことろにスッポ抜けることもあれば、左バッターの内角を攻める武器になるときも」(同前)

 と、まだ不安定さはあるようだ。

 岡田監督も2日の試合後に「青柳先発」の報告を受けていたようで、「(相手バッターに)ぶつけていたみたいやからな」と笑いながら話していた。

「カーブが完全習得できれば、クイックモーションを使わなくても、緩急で相手バッターのタイミングを外せます。青柳のクイックモーションにダメ出しをした岡田監督の評価も変わるはずです」(前出・在阪メディア)

 5月の降格前、岡田監督はかなり厳しい叱り方もしていた。大げさかもしれないが、9日の登板には青柳のエースとしてのメンツも掛かっていそうだ。

(飯山満/スポーツライター)

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