日本時間3月18日午前8時、WBC準々決勝「プエルトリコ対メキシコ」は、逆転でメキシコが勝利。これで侍ジャパンの準決勝の相手はメキシコに決まったわけだが、ニューヨークのメディアはプエルトリコ代表に強い関心を示していた。
「一次ラウンド突破を賭けたドミニカ共和国との試合後、喜びの輪の中でプエルトリコ代表の主軸投手で、ニューヨークメッツの守護神でもあるエドウィン・ディアスが倒れ込み、車椅子で運ばれました。メッツ広報の発表によれば、右ヒザの膝蓋腱の断絶という大怪我。1週間でリハビリを開始できるとのことですが、元通りのピッチングができるまで8カ月は掛かるとみられています」(米国人ライター)
つまり、今季中の復帰の可能性は、限りなくゼロになった。
「そこで、ニューヨークメディアがほぼ一斉にWBCバッシングを始めたんです。『ペナントレースに関係のない大会』『開催時期がおかしい』『ディアスが目指すべきはワールドシリーズの頂点だ』といった塩梅です」(現地関係者)
前出の米国人ライターによれば、ディアスが負傷するまでの間、NYスポーツニュースのトップはNFLで、「パッカーズのアーロン・ロジャースはニューヨーク・ジェッツに来てくれるのか?」が話題になっていたそうだ。WBC関連は試合結果を伝える程度だったが、「ディアス負傷」により、トップニュースに入れ替わったという。
「ディアスは昨季61試合に登板した剛腕クローザーで、2022年オフに『5年1億200万ドル』(約133億円)で再契約したばかりです。ナ・リーグを代表するクローザーが大怪我をしたせいもありますが、米国の野球ファンは、世界最高峰の試合はMLBのペナントレースであり、その頂点を極めるのはWBCではなく、ワールドシリーズなんだとの誇りを持っています」(前出・米国人ライター)
WBCに出場中のメジャーリーガーたちは「祖国代表のプライドだ」などと反論したそうだが、大会へのバッシングは止まない。
アンチWBCの米国野球ファンは、アメリカ代表が優勝したらWBC支持者が増えるからか、暗に「日本、ガンバレ!」と思っている者もいるそうだ。
現地で侍ジャパンにヘンな応援団が付きまとわなければいいのだが…。
(飯山満/スポーツライター)