「いつ入ってきてもおかしくない」致死率88%「マールブルグ病」日本上陸を専門家が警告

 2月13日、WHO(世界保健機関)はアフリカ大陸の中西部に位置する赤道ギニアのキエンテム州で「マールブルグ病」の感染が確認されたことを公表した。

 WHOによれば、赤道ギニアではすでに9人の死亡例と16人の疑い例が確認され、現在までに200人以上が隔離状態に置かれているほか、赤道ギニアに隣接するカメルーンでも、2人の疑い例が確認されているという。

 マールブルグ病は、14年に同じくアフリカで猛威を振るい、世界各国で1万人以上の死者を出して世界を震撼させたエボラ出血熱によく似た感染症である。

 マールブルグウイルスによって引き起こされるマールブルグ病は、1週間程度の潜伏期間の後、発熱、悪寒、全身のだるさ、下痢、嘔吐、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が突然、出現する。重症化すると点状出血や皮下出血などを経て全身の臓器不全へと至り、致死率は最大88%にも達するとされる。この恐怖のウイルス性出血熱で、事実、05年のアンゴラでの大流行の際には、300人以上が死亡している。

 マールブルグウイルスの宿主はエジプトフルーツコウモリと言われ、ヒトがこのコウモリや、コウモリから感染した動物の体液や死骸、排泄物などに接することで感染するほか、感染したヒトの体液に触れたり、患者や遺体に接触したりすることでも感染する。

 過去に日本での感染確認例は報告されていないが、松野博一官房長官は2月15日、記者会見で「厚生労働省が検疫所、地方自治体、医療関係者などに対して、赤道ギニアにおけるマールブルグ病の発生に関する注意喚起を行っている」と表明。感染症学の専門家も、マールブルグ病の今後の日本流入のリスクについて、次のように指摘している。

「日本の感染症法では、マールブルグ病はエボラ出血熱、南米出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、痘そう、ペストと並ぶ『1類感染症』に位置づけられている、危険な感染症です。マールブルグ病の日本流入の可能性は極めて低いとする楽観論もあるようですが、アフリカから世界中に感染が拡大したエボラ出血熱のケースが如実に示しているように、多くの専門家は『もはやマールブルグ病がいつ日本に流入してもおかしくない状況』と警告しています。マールブルグ病に対する有効な治療法はありませんから、日本に流入した場合、国内は未曽有の大パニックに陥ることになるでしょう」

 厚労省をはじめとする、当局の抜かりない流入防止対策が求められるゆえんである。

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