発がん物質検出で台湾・タイで辛ラーメン流通禁止!「輸出用だけ」釈明の波紋

 いまや韓国の国民食とも言われるほど、爆発的な人気を誇るのが「辛ラーメン」だ。その人気は韓国国内に留まらず、昨年6月には、ニューヨークタイムズ紙の「The best instant noodles(世界で一番おいしいインスタント麺)」ランキングで「辛ラーメンブラック」が1位に輝き、大きく報道されて話題になったことは記憶に新しい。

 その「辛ラーメンブラック」の製造販売メーカーが、ソウルに本社を置く「農心」だ。

「同社は1965年9月創業。創業者は元々ロッテで製菓事業に携わっていた人物で、インスタントラーメン事業に特化するため、ロッテから独立。主力商品は『辛ラーメン』のほか『チャパゲティ』『ノグリラーメン』などですが、特に『辛ラーメン』は創業当初から1日平均300万個が販売される、国内25%のシェアを持つ韓国インスタント麺市場では敵なしといわれる人気ブラントなんです」(全国紙記者)

 ところが、そんな人気商品の一つ「辛ラーメンブラック豆腐キムチどんぶり」の一部から発がん性物質である農薬成分が検出されたと、台湾の衛生福利部食品薬物管理署が明らかにしたのは先月18日のことだ。

 現地報道によれば、台湾食薬署が外国産輸入食品の通関検査で同商品約1000箱を検査したところ、発がん物質の一種「エチレンオキサイド」が検出され、自国規定によりすべてを廃棄。エチレンオキサイドは殺菌用途で主に使われ、国際がん研究所では発がん性物質に分類されている。今回は台湾の食品安全衛生管理法の「残留農薬許容量基準」を超えていたという。

「報道を受けた農心側は、『スープに使われる様々な農産物から、栽培環境の影響で一時的に微量の成分が検出されただけ。今回検出された物質はエチレンオキサイドではなく“2クロロエタノール(2-CE)”で、発がん物質ではない』と説明。『輸出用製品だけに使われた原料であり、国内販売製品には問題がない』として、輸出用と国内販売用は違うと釈明しました。ただし、なにぶん韓国内で大きなシェアを誇る大人気商品ですからね。消費者に与えた衝撃は大きかったようです」(同)

 ところがこの「辛ラーメン」騒動は、台湾だけに留まらなかった。台湾に次いでタイでも同商品に「有害物質検出の可能性がある」として検査対象となっていたことが、2月10日地元メディアによって報じられたのだ。

「今回も、農心側は台湾と同様の説明を繰り返し、韓国食品医薬品安全処も、当局が2-CEと発がん物質である『エチレンオキサイド』を同一視しているが、これは別物として、『当該製品は国内用と輸出用で生産ラインが異なるため、調査する計画はない』とコメントしています。ただ、世界保健機関(WHO)が指定する『1級発がん物質』を『極めて微量だから問題ない』と言い捨てる姿勢はいかがなものか。辛ラーメンは世界でも人気商品なので、メーカー側には消費者が納得できるような襟を正した説明が必要だと思われますね」(同)

 これまでも人気に胡坐をかいたばかりに、とんでもないしっぺ返しを食らったという商品は数々ある。超人気の辛ラーメンには同じ轍を踏まないでほしいものだ。

(灯倫太郎)

*写真はイメージ

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