栗山英樹監督のWBC構想を狂わせたのは、千賀滉大投手の「代表辞退」だけではなかった。
「栗山監督は千賀とも色々と話をしてきたとコメントしています。メジャー移籍1年目ですし、新しい環境に慣れようとする千賀の気持ちに理解を示していました」(スポーツ紙記者)
当初、千賀は投手2人の入れ替えが可能となる1次ラウンド後か、準々決勝後の合流が予定されていた。しかし、ここに至るまで何度も話し合いをしてきたというから、メジャーリーグで成功したいという千賀の気持ちを汲んだのではないだろうか。
これに加えて栗山監督を悩ませているのが、日本人メジャーリーガーの合流時期について、いまだMLB機構から正式な回答が来ていないことだ。ダルビッシュ有、大谷翔平、鈴木誠也らが事前合宿に参加できなければ、1次ラウンドの戦況にも大きく影響する。
「とくに外野手が心配です。外野手は5人しか選出していないのに、そのうち3人がメジャーリーガーです。鈴木、ヌートバー、吉田正尚の合流が遅れるとなれば、臨時で内野手の誰かに外野を守らせなければなりません」(同前)
そもそも、日本人メジャーリーガーたちの合宿参加に関する連絡が遅れている理由だが、MLB各球団は、やはり「故障」を恐れているからだという。WBC期間中は当然、選手を派遣した球団に、年俸分に相当する保険が掛けられる。
「強化試合2戦と大会期間はWBCの大会運営会社『WBCI』が保険料を支払います。適用となれば、負傷の程度に応じて選手年俸の全額、あるいは何割かが所属球団に支払われます。ところが大会前の合同練習や宮崎合宿は保険適用外。NPBが新たに保険を組み、全額負担しなければなりません。その見積もりを保険会社に依頼してるものの、なかなか返事がこないといいます」(同前)
そう言われてみれば、ドミニカ共和国代表の予備登録選手50人中18人が「所属球団から出場許可が下りなかった」との一報もあった。保険のことも影響しているのだろう。
「WBC決勝戦の舞台となるローンデポ・パークはブルペンのすぐ近くにバーがあって、観客はお酒を飲んでいます。けっこううるさいそうですよ」(同前)
“マジメな日本人”の気質には合わないかもしれない。そういった環境に慣れている日本人メジャーリーガーたちには、1日も早く合流してもらいたい。
(飯山満/スポーツライター)