ここ数年、あらゆる商品・サービスの価格が上昇しており、庶民の生活は苦しくなる一方。ただし、地域によって物価水準にはバラつきがあり、それを数値化して総務省が公表しているのが「消費者物価地域差指数」だ。
同指数は全国平均を100としており、それを下回るほど安くなる。ちなみに物価安上位の自治体は、22年発表のデータによると、1位・宮崎県(物価指数96.2)、2位・群馬県(96.6)、3位・鹿児島県(97.2)の順で、岐阜県、奈良県が同率(97.3)で4位、5位・長野県(97.4)となっている。
ただし、物価の安い地域に住めば生活が楽になるかといえば、そんな簡単な話ではない。なぜなら平均賃金も都道府県によって大きな開きがあるからだ。
そこで厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」から都道府県別の平均年収を算出。すると、宮崎県は45位(374万7400円)、群馬県は19位(455万700円)、鹿児島県は39位(405万9000円)、岐阜県は13位(464万3400円)、奈良県は22位(447万1800円)、長野県は20位(448万6600円)という結果に。
「以上の2つのデータから物価が安く、賃金もそれなりに貰えるのは、群馬・岐阜・奈良・長野の4県。このうち、長野以外は大都市の通勤圏にあり、転職しなくても移住が可能な人も多いです」(ファイナンシャルプランナー)
なかでも群馬県はNPO法人ふるさと回帰支援センターが毎年発表する「移住希望地ランキング」で年々順位が上がっており、昨年は5位にランクイン。シニア世代だけでなく現役世代の間でも人気が高く、前橋市や高崎市は人口が増加傾向にある。
また、企業の誘致にも力を入れており、移転先としても全国的に人気。昨年10月には試験的ながらNTTが本社機能の一部を高崎市に移し、大手タイヤメーカーのミシュランも今年の夏に群馬県内への移転を予定している。
「豊かな自然があり、温泉も豊富。経済的な暮らしやすさだけなく、ライフワークバランスが取りやすいのが魅力。首都圏からの移住者は今後さらに増えるでしょうね」(前出・ファイナンシャルプランナー)
都心からは離れるが、移住先としては案外悪くないかもしれない。