高級腕時計で知られるブランドは数多く存在するが、その中で絶対的な人気と知名度を誇り、〝時計界の王者〟と称さるのが「ロレックス」。近年はずっと中古相場が右肩上がりで、定価を上回る高値で買い取ってもらえる。そのため、投機目的に購入する人も多く、市場では品薄の状態が続いている。
そんな中、昨年は年明けから相場が急騰を続けるも、2月下旬に入ると一転して下落。一年を通じて乱高下を繰り返した。
「22年春先の暴落は、中国から始まり世界中に波及しています。同国はロレックスの世界最大の市場でしたが、コロナ禍に入ると上海がロックダウンになるなど、ゼロコロナ政策のあおりでバブルが弾けてしまった。ちなみに高級腕時計に限らず、貴金属類、エルメスの『バーキン』など人気ブランドの高級バッグの買取価格も軒並み下がっています」(流通ジャーナリスト)
ただし、買取相場が暴落したといっても、ロレックス全体が地盤沈下しているわけではない。コレクションの中には価格を維持、もしくは高騰しているモデルもある。ロレックスのブランド力に揺るぎはないが、今後は“転売”して儲けを出すことは難しくなるという。
「ロレックスは昨年12月、2年間の品質保証制度を付けた『認定中古制度』をスイスやドイツ、フランスなどのヨーロッパ6カ国で開始し、日本でも正規販売店を対象に導入。これには、好き勝手に売られていた中古品に同社が『本物であること』と『品質基準』でお墨付きを与えるとともに、過剰な相場の上昇を抑えたいメーカー側の意図もあるようです。つまり、ロレックスによる事実上の相場への介入で、これからは投機目的に購入してもウマ味は薄くなるかもしれません」(前出・流通ジャーナリスト)
転売ヤーにとっては悲報となった今回の認定中古制度。だが、相場が安定してくれるのは、純粋にロレックスが欲しいユーザーにとっては朗報と言えるかもしれない。