11月20日に開幕する「2022FIFAワールドカップ・カタール大会」。初の中東開催、初の冬開催という異例ずくめの大会だが、そんな中、2010年にカタールが開催権を獲得した当時のFIFA会長だったゼップ・ブラッター氏が「カタールは間違いだった」と発言。すると「今さら何を言ってるのか」と世界中から非難轟々だ。
なぜなら、今回のカタール大会がとにかく悪評だらけなのだ。開催権獲得のときからして、関係者から「過去に例を見ないほどの不正があった」などと告発され、スタジアム建設では労働者が低賃金で酷使され死亡する報告が相次ぐなど散々。さらには女性蔑視する国の在り方に欧州各国から非難の声が上がるなど、とにかくあらゆる問題で論争に晒されているのだ。
「灼熱の中東での開催には、選考時から疑問の声が大半でした。それでもFIFAがオイルマネーにひよったという評価がもっぱら。結果、冬開催のW杯のために欧州各国はリーグ戦を中断する過密日程を余儀なくされた。それだけならいいのですが、カタールでは大会施設の建設に携わる外国人労働者の劣悪な待遇や、同性愛が違法とされることで特に欧米からの批判の声がどんどん高まってきていた。ということもあり、今回のプラッター元会長の発言には『いまさら急に善人ぶるな!』というわけです」(スポーツライター)
代表メンバーの選考ばかりが話題になる日本では、ほとんど報道されないカタール開催への拒否感。特にヨーロッパの反応は苛烈で、日本が3戦目に対戦するスペインでは、バルセロナ市長が公共施設でのパブリックビューイング(PV)を行わないと宣言。また、優勝候補のフランスでも、パリを筆頭にサッカー人気の高いマルセイユやリヨンなど10都市以上で、人権侵害へ抗議するためにPVボイコットを決めている。
「欧州の他国でも追随する都市があるようですが、あれだけ熱狂的なサッカーファンの多いバルセロナで、まさかW杯のPVボイコットが行われようとは驚きます。ここに反応しない日本が鈍感なのか、あるいは欧州が敏感すぎるのか。いずれにしろ今回のカタール大会は、今後のスポーツイベント開催の試金石になるでしょうね」(前出・スポーツ誌ライター)
翻って日本では、東京五輪汚職が解決しなくても、札幌への冬季五輪誘致に政治家たちは前のめり。カタールの内情についても、あまり気にしていない人が多いのかも。
(飯野さつき)