「ウクライナでは、このところ戦闘の中心は東部ドネツク州北部の要衝リマンでしたが、ウクライナ軍は10月1日にリマンを奪回。さらに南部でも進撃は続いて、ロシア国防相が4日に行った戦況説明に用いられた地図にも、ヘルソン州のロシア軍が大きく後退しているのが描かれていたくらいです」(全国紙記者)
苦戦を強いられるロシア・プーチン大統領が30万人の「部分動員令」を出して、抗議デモが多発。国外への逃亡者が溢れたのは広く報道されたところ。さらにはリマンの奪還はロシアがウクライナ東・南部の4州の併合を宣言した翌日だけに、ロシアの痛手は大きかった。
するとあの残忍さで知られるチェチェンのカディロフ首長は、小型の戦術核を使うようテレグラムに投稿した。アメリカは、軍事支援で供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」が成果をあげたとして、まるで想定通りだと言わんばかり。ロシアのプーチン大統領は、追加の「動員」は自ら政権の首を絞めかねず、となればやはり核の使用は近いか。
さらにロシアに追い打ちをかけるように、強烈に皮肉の利いた宣伝をウクライナが行っている。ロシアが部分動員で招集した予備軍を収容する兵舎の模様を公開したのだが、BGMにはあのネットフリックスで大ヒットした韓国ドラマ『イカゲーム』の音楽を使用して、イカゲーム参加者の部屋にそっくりだと揶揄しているのだ。
「SNSに上げられたその映像を見ると、体育館のような建物内に、4床1組の2段ベッドが、人1人がかろうじて通れるような空間を空けて立錐の余地なくすし詰め状態で並んでいるんです。そしてウクライナ国防省による『(侵攻で)ネットフリックスはロシアを離れたが、「イカゲーム」は依然として残っている』というコメントが付されているのです」(同)
「死の運命」に挑むイカゲームと似ているかどうかはさておき、ロシア新兵が劣悪な生活環境下に置かれ、防寒具や軍事装備などもすべて自分で購入するよう求められているという情報もある。
コメディ役者出身のゼレンスキー政権だけに、映像にも皮肉が利いている。これなら硬直した体制との対比が際立って、ロシア国内の反戦ムードを盛り上げるのにも効果てきめんだろう。
(猫間滋)