行動制限がなかったのは19年以来、3年ぶりとなった今年のお盆休み。コロナ前の同じ時期と比べればまだ2割程度だが、成田空港から海外に出国する人の数は20万人と海外旅行もようやく復調しつつある。
しかし、帰国に際しては現在も日本到着72時間以内に行ったPCR検査の陰性証明書の提示が必要。検査で陽性反応が出ると旅先の国から出国することはできず、それどころか隔離措置となって帰国は大幅に延期となる。
感染者の数自体は海外も極端に減ったわけではないため、帰国前のPCR検査で引っかかってしまう事例が続出。しかも、実際そうなってしまうと非常に厄介だ。
バンコクからの帰国予定日の前日に、感染が判明したという40代会社員に話を聞いた。症状こそほとんど出なかったが「当初の予定より帰国が12日も遅れた」と話す。
「たまたま宿泊先のホテルが隔離施設の認可を受けており、そのまま延長して滞在できました。でも、食事は朝食のみだったため、昼と夜はルームサービスかデリバリーを手配。タイ語も英語も話せなかったため、最初は注文すら満足にできず苦労しました」(会社員)
ちなみに高級ホテルのうえに割高な隔離用プランだったため、宿泊代や食事代などで20万円近く余計にかかってしまったとか。しかし、これはまだマシなケースのようだ。
「まず、泊まっていたのが認可外のホテルだと自力で手配しなければなりません。病院によっては隔離先を手配してくれますが、そんな医療機関はごく一部です。また、欧米だとホテルや食事の費用も高く、入院となれば桁外れの医療費を請求されます。やっと帰国となっても航空券を新たに買い直さなければならない場合もあり、そうなると100万円程度では到底足りません。そのためにも、コロナ対応のある海外旅行保険への加入は必須です」(旅行誌編集者)
年末年始や来年以降に海外旅行を計画している人もいると思うが、帰国前感染という最悪の状況に備えた準備が必要かもしれない。