東京都心でも6月25日から9日間続いた記録的な猛暑。一旦は落ち着いたものの、気象庁が出した7月の1カ月予報によると、中旬にはもう夏本番で、沖縄を除いた全国で平年より暑い夏になるという。
先日の猛暑について、ウェザーニュースは面白いことを伝えている。周囲で起こった「異変」についてアンケートを取ったところ、「あじさいが一気に枯れた」「蚊が少ないような気がします」「ミミズが干からびていた」といった声が聞かれたのだとか。
確かに蚊の活動が活発になるのは25〜30度で、40度を超すと死ぬ。あじさいも30度を超すと花の色が褪せるし、ミミズはほぼ100%水分なので、温度が高すぎれば干からびるだろう。あまりに暑すぎると人は熱中症になるかもしれないし、人間以外の動植物に「異変」が生じるのも当然のことだろう。
家畜に関しては、畜産農家の経営にも関わることなので、暑さが与える影響については研究がなされている。
「最初に始まったのは乳牛での研究で、暑さのストレスがかかると乳量が減るなどの悪影響が指摘されています。他にも肉用の牛や豚、ブロイラーも影響を受けやすく、気温が高いと体温を上げないようにエサを食べなくなります。すると当然、肉質は悪くなる。また繁殖用だと、雌が発情しなくなり、雄は精力が弱まるので繁殖にも支障をきたし、鶏の卵は小さくて殻の薄いものになると言われています」(経済ジャーナリスト)
ということはつまり、ただでさえモノの値段が上がっているというのに、これら食品は質は落ちるが値段が高いものが流通する可能性があるというのだから困ったものだ。
さらに困るのは収入に直結する生産者だろう。
「ロシアのウクライナ侵攻で、穀物価格の高騰が家畜のエサになる飼料の価格上昇にまで広がって、生産者からは悲鳴が絶えません。さらに猛暑となれば畜舎の扇風機などの冷房はフル回転で、ただでさえ高くなっている電気代もかさむから二重苦、三重といったところでしょう」(同)
それも最終的にはは食卓や家計にも跳ね返ってきて。気温は暑い、懐具合は寒い夏となりそうだ。
(猫間滋)