回転寿司と言えばスシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司といった大手回転寿司チェーンの名前がまずは頭に浮かぶと思うが、海外ではあの「驚安の殿堂」ドン・キホーテの寿司店があるのだという。
「ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH)では、21年10月に香港で『鮮選寿司SEN SEN SUSHI』を開店、今年4月と5月に2、3号店を、そして今年の9月までにタイでも出店を行う予定で、徐々に出店ペースを加速しています。ただ、2号店からは回転をやめ、レーンが客席に直接届く方式に変えています」(経済ジャーナリスト)
コロナでインバウンドが減ったから、それなら逆に直接こちらから海外まで出向いてやろうということか。それとも、国内では冒頭の大手チェーンがひしめき合って競争が激しいから「しれっと」海外で、とでもいうのだろうか。PPIHの企業戦略を見れば、答えはうかがえる。
まずは同社の業績を見れば、昨年6月期決算ではコロナ禍でインバウンドが減少したことが大きく、駅前で勝負するドン・キホーテは苦戦したものの、19年に買収したユニーでのプライベート・ブランドなどが好調で、創業以来32期連続増収増益という勝負強さは相変わらずだ。特に好調をけん引しているのが海外事業で、ここでは「ジャパンブランド・スペシャリティストア」として、米国事業と「DON DON DONKI」という商業施設で日本産食品に力を入れている。
「日本は行政も農林水産物や食品の輸出に力を入れていて、21年には初めてこの品目の輸出が1兆円を超えました。ですから同社の海外事業の戦略もこれに沿ったもので、寿司屋では食材を日本から持って行って小売りで提供するということで、SPA(製造小売り)というビジネスモデルに沿ったものだと言えます」(同)
「♪ドンドンドン、ドンッキー、ドンキーホーテー」でお馴染みのあの歌には、「衝撃的でも得したね」とあるが、ドンキの寿司店はある意味衝撃的とも言えるか。
(猫間滋)